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仙台の牛たんは何が違うの?発祥の地で受け継がれる職人たちの 「こだわりの味」【仙台・牛たん通り】

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皆さん、こんにちは!
食べるの大好き、 札幌在住・料理研究家の中居香織です!

北海道の翼、AIRDOに乗って、東北イチの大都会・仙台を訪れてきました! 「仙台のおいしいものをレポートしてほしい」という素敵なご提案に飛びついたわたし。

だって仙台といえば……やっぱりあれ! 「牛たん焼き」発祥の地ですよね。
今では全国で食べられる牛たん焼きですが、仙台の牛たんは他と何が違うのか? そもそもなんで仙台は牛たんで有名になったのか?
料理研究家としてはぜひ知りたいところです。

おいしい牛たん焼きの名店、そして仙台と牛たんの秘密を探るべく、さあ出発〜!!!

 

 

仙台までわずか70分! 札幌〜仙台間をひとっ飛び

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いざ、AIRDOで札幌(新千歳)から仙台空港へ! どことなく既に牛たんの香りが漂ってるような……

よーし、早速おいしい牛たんを探しに出発です!!

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空港を歩いていると、早速観光カウンターで「牛たん焼きお店マップ」を発見!
さすが牛たん焼き発祥の地! こんなにたくさんお店があるんですね……!

でもそもそも、なぜ「仙台 = 牛たん」というイメージができたんでしょう? その謎を解くべく、牛たん焼きお店マップをつくっている「仙台牛たん振興会」へ聞いてみることにしました。

 

「仙台牛たん焼き」は職人たちが受け継ぎ広げてきた 「こだわりの味」

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今回お話を聞いたのは、仙台牛たん振興会で事務局長を務める小野博康さん。昔は1日に牛たん焼きを3〜4食も食べていたというスゴイ人です。

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小野さん、はじめまして! というか、牛たんとか関係なく1日に4食ってすごすぎません?

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今日は何でも聞いてください。わたしは仙台の牛たんなら何食でも食べられますよ。

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ほ、本物だぜ……!

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そもそもなぜ「仙台=牛たん」というくらい、全国的に有名になったのでしょうか?

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牛たん焼きの発祥が仙台であることはよく知られていますが、これを本格的にメニュー化したのが仙台市内にある「太助」という店でした。1948年(昭和23年)、戦後の混乱期のことです。

もともと焼き鳥屋をしていた「太助」初代店主の佐野啓四郎さんが、東京修行時代に知り合ったコックさんから「牛たん」の存在を聞きました。すぐにそのおいしさの虜になった佐野さんは、牛たんを日本人の口に合うよう試行錯誤し、こだわりの「牛たんしお味」をつくりあげたのです。

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そんなに昔からあるんですね! 佐野さんがこだわったその「牛たんしお味」がその後全国に広がっていった?

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はい。太助で修行し独立した店だけでなく、さらにその店で修行した者が独立した「孫」にあたる店もあります。

また、仙台地区でチェーン店化し全国展開に乗り出した専門店も現れたことで、仙台牛たんが日本各地へ広まっていきました。今では全国に30社ほどの仙台牛たんの会社がありますね。

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佐野さんすごい!!!

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牛たんはシンプルな料理なだけに、こだわりをやめてしまうと全く異なる料理になってしまいます。素材選びから、使う部位、切り身の厚さや切り込みの入れ方、熟成期間、塩の量や振り方などの仕込み、炭火の火加減や焼き加減などなど……

仙台牛たん焼きは、こだわりの連続。すぐには真似できない技術です。いつ食べても「やっぱり仙台の牛たん焼きはおいしいね!」と言っていただけるように、各専門店がそれぞれ日々努力しています。

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▲1本の牛たんの中に「部位」があることを説明してくれる小野さん。そのうち炭火焼きに使えるのはわずか35%ほどだそう

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まさに職人技! すごいです!!

 

牛たんが人気すぎて!? 価格高騰も多様化する牛たんの楽しみ方

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地元仙台の方も、牛たんはお店に行って食べるんですか? 牛たん焼きに対するイメージってどんな感じなんでしょう?

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寿司やうなぎと同じような感じでしょうか。「よし、今日は牛たん焼きにしよう!」みたいな特別な食事ですね。

20年ほど前までは庶民的・日常的なイメージでしたが、原料である牛たんの人気が高まったことで価格が高騰。今ではすっかり高級部位になりました。

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価格が上がり、仙台の人はあまり牛たんが食べられなくなってきた……?

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いえ、そんなことはありません。そのぶん新しい「仙台牛たんの楽しみ方」が地元企業から次々と打ち出され、お客様のニーズに応えていこうという動きが盛んになっています。

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新しい仙台牛たんの楽しみ方! 気になります!!

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今までのこだわりをもった専門店の他に、牛たんを手軽にお酒と味わう居酒屋風牛たん店、ファミリーで楽しめるレストラン風牛たん店など、「仙台牛たん」を提供する店がどんどんグループ分けされていっています。

焼きも「塩味」だけでなく、「タレ」や「味噌」を揃える店が増えました。焼かずに茹でる「ゆでたん」や「牛たんしゃぶしゃぶ」も人気ですし、燻製した「スモークたん」はお酒に合う絶品です。

お店の形態も料理のバリエーションも増えて、牛たんの楽しみ方が多様化してきていますね。

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牛たんしゃぶしゃぶ

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ゆでたん

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牛たんスモーク

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わ~! どれも美味しそう~!!
小野さん、わたしすっかりお腹が空いちゃいました。そろそろ牛たん焼きを食べに行きたいんですが、どこかオススメのお店はありますか?

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店によって非常に細かくこだわりが違いますからね。ひとつを決めるのは難しいので、仙台駅内にある「牛たん通り 」へ行ってみてはどうでしょう? 牛たん焼きのはしごもできますよ。

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牛たん焼きのはしご! 贅沢すぎる!! 小野さん、今日は本当にありがとうございました!

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いえいえ、またお目にかかりましょう。

 

牛たん専門店サイトで人気ランキング1位「喜助」へ行ってみた

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教えてもらい早速やってきた「牛たん通り」。JR仙台駅内という超好立地にあります。

通りを歩くと、全国に名の知れた牛たんの名店がズラリ。
「利久」「たんや善治郎」などの有名店が軒を連ねており、ヨダレを抑えきれないわたし(笑)

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どこに入ろうか本当に迷ってしまいます。

そんな中、わたしが今回決めたお店はここ!!

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味の牛たん「喜助」 。創業40年を超える老舗で、仙台市内だけで6店舗を構える超有名店。牛たん専門店サイトの人気ランキングでは堂々の1位を獲得しています。

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(おそるおそる……)おじゃましま~す

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「いらっしゃいませ!!!」

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あの〜大人1名で~……って、あれっ!? また小野さん!!

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ふふふ。またお目にかかると言ったはずですよ。

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なぜ秘密裏に……しかも、なんですかそのお酒は?

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これは仙台牛たん振興会公認の、牛たんのために作られた宮城の地酒「是舌品(これぜっぴん)」です。

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牛たんのためのお酒まで……小野さんはやはり本物……っ!!

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まあまあ、せっかくですから「喜助」自慢の牛たん焼きをゆっくり味わっていってください!

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はい、わかりました! 自慢の味、楽しみです!!

 

冷めてもやわらかい! 1日300食以上でる人気の絶品牛たん焼き

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厨房では、若くてめちゃくちゃかわいい副店長さんが牛たんを焼いています。イケメンの調理師さんはわたしのテールスープとご飯を変顔でよそってくれました。

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このお店、素敵な店員さんばかりですね!

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仙台駅店は駅の中ということもあり、喜助の「顔」ですからね! 彼らのがんばりもあって、10坪36席しかない店ですが1日に300〜400食も売れる人気店です。

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回転率すごい。味も間違いないからこその人気ですね。おいしい牛たんを焼くポイントはどこですか?

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炭火を使って強火でさっと炙るように焼くことですね。皆さんが自宅で焼くときも、油をひかずに熱したフライパンで焦げ目がつく程度にさっと両面焼くのがオススメです。

ちなみに「喜助」ではお土産牛たんも販売していて、パッケージには焼き方を詳しく載せています。おみやげ処店で販売している商品はチルドなので賞味期限は短いですが、ドリップ(肉汁)も少なく、味付け・熟成もちょうどいい具合になるように計算されています。

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お土産なのにこだわりがすごい!

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お、そろそろ定食の準備できたようですよ!

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わーい! 待ってました!!

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牛たん炭火焼ミックス定食(2,160円)

左が塩焼き、右がたれ焼きのミックス。牛たんが贅沢に8枚と、麦ご飯とおしんこ、テールスープの定食です。

まずは塩焼きから! いただきまーす!!

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………!!!

柔らかっ!!! ジューシー!!! うまーーーーー!!!!

続いてたれ味も……!

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柔らかっ!!! 香ばしっ!!! うまーーーーー!!!!!

牛たんの味付けがまた麦ご飯とよく合い、もう箸が止まらない!!

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たとえ冷めても柔らかいのが当店の自慢です。ドリップも出ないですしね。
あ、こちらもぜひどうぞ。数量限定で用意している「特切り厚焼(単品1,998円)」です。

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いいんですかー! やった~!!

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見てください、この肉厚ぶり! 5〜6ミリはありそうです。それでは、いただきます~!!

ぱくっ

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柔らかっ!!! さくっと! プリッと! うまーーーーー!!!!

こんなに分厚いのにサクッと噛み切れて、じわぁ〜と旨味が広がります。この食感がたまりません!

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この両面から均等に入った美しい切り込みにうっとり。
小野さんの言う通り、冷めてもかたくならないし、全くドリップが出ていない!

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ちなみに使っている野菜は宮城県産で、米も宮城県産の「ひとめぼれ」です。国産の牛たんを使うのは難しいけれど、「仙台牛たん焼き」はこの土地で古くから培われてきた、牛たんをおいしく加工する「技術力」が名物なんだと自負しています。

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お米もテールスープも本当においしいし、とにかく最高! 小野さんありがとう~!!!

 

栄養バランスも良いパワーアップ献立・牛たん焼き定食を本場仙台で食べよう!

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元祖「太助」の創業者・佐野啓四郎さんが考案し、今も受け継がれている定番仙台牛たん焼き定食。

佐野さんは、お米が高かった時代にお腹いっぱい食べて満足してほしいという思いから、お米に麦を加えたそうです。牛たんやテールスープからは良質なタンパク質をしっかり摂れて、漬物や麦めしでビタミンやミネラル、食物繊維を補える牛たん定食。

食べた人の心も体も元気にしたいという創業者の心意気を感じつつ、最後までおいしくいただきました。

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いや〜仙台の牛たんはやっぱりすごかった! 今では全国に牛たんの名店が進出してはいますが、やはり仙台で食べる牛たんは、ひと味もふた味も違います。

読者の皆さんもぜひ仙台を訪れて、本場の牛たんを味わってみてくださいね!
それでは!!

 

※この記事は宮城県による提供記事です。

書いた人:中居香織(なかい かおり)

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北海道札幌市出身、管理栄養士・料理研究家。 「キッチンから大切な人の笑顔と健康をつくる」をモットーに料理教室や食や栄養についてのセミナー、メディア出演などで活動。「おいしさ、健康、実践的、楽しい」を組み合わせた家庭料理を研究し 提案している。 趣味は旅行、今一番興味があるのは「日本中・世界中の食生活・食文化」。五感で味わって得た料理や食材の知識を、日々の研究活動に活かしている。