犬が怖いけど、マイナス20℃の世界で犬ぞりにチャレンジしてみた


犬ぞりというものがある。雪道を犬が引っ張るそりで走るものだ。アラスカでは州技として犬ぞりが選ばれている。雪道を効率よく移動するには犬ぞりなのだ。近年は冬のアクティビティとしても人気だ。

冬をワイルドに生き抜く男にとって、犬ぞりはハズせない。

ぜひ犬ぞりにチャレンジしてみたいと思う。

私は犬が怖いんだけど。

犬ぞりをやりに行く

犬ぞりの存在は多くの人が知っているだろう。映画「南極物語」のタロとジロでも有名だ。ただ実際に犬ぞりをしたことがある人は少ない。知っていてもやったことがないもの、それが犬ぞりなのだ。


行ってきます!!

犬ぞりというと、タロジロからも分かるように国外での話だと思っていたけれど、北海道でも体験できるらしい。それは行かねばならない。

犬ぞりによって冬を制する漢になるのだ。私は犬が怖いんだけどね。ということで、羽田空港からAIRDOに乗り込み旭川空港を目指した。


機内で「大人のゲームシート」をやりました!

機内では「大人のゲームシート」というものが無料でもらえたのでやってみた。「大人の」と付くので、若干ではあるがピンクな感じを想像したけれど、そうではなくめちゃくちゃマニアックな北海道の知識を必要とするものだった。旭川空港までの1時間半では無理な難しさだ。


1時間半があっという間に過ぎまして、


旭川空港に到着しました!

犬ぞりを目指して

出発した羽田空港は雪もない晴れた空だったけれど、到着した旭川空港は一面雪。飛行機で1時間半も飛ぶと世界はがらっと変わるのだ。気温もマイナス。はっきり言ってめちゃくちゃ寒いけれど、犬ぞりには適した世界だ。


車を運転して、


犬ぞりができる「Outrider(アウトライダー)」という施設にやってきました!


めちゃくちゃ犬がいる!!!

旭川から車を1時間半ほど走らせ、遠軽町の白滝という場所にある「Outrider(アウトライダー)」を訪れた。ここで犬ぞりができるのだ。

「犬が人間を運ぶってどうなってるの?」と思ってたけど、ここには疑問はない。だって、大きい犬が45頭も見えるもの。

シベリアンハスキーにアラスカンハスキー、狼犬などとにかく大きい犬がいる。


怖くて腰が引けちゃう

ごく控えめに言って怖い。

だってでかいんだもん。小学校中学年の子どもくらいのサイズである。


近くで見るとさらにデカい!

さらに寒い。マイナス12℃である。寒いというか痛い、という表現が正しい。全てが凍る。鼻水も凍るし、カメラも凍る。


マイナス12℃

ただ犬は元気なのだ。驚くほど元気。


元気です、彼ら!


なかには眠そうな子も


到着後、まずは犬ぞりの操作方法について教わる。馬のように手綱を引っ張って操作するということはない。全て口頭で犬に情報を伝える。走れは「ハイク」で、止まれは「ウォーウォーウォー」


これがソリです!


まずは人間で練習します!

ソリ自体は驚くほど軽く雪の上を走った。空のヤカンを持ち上げた時のような軽さだ。ソリは10kgほどあるけれど、雪の上では軽いのだ。このソリを犬が4頭で引っ張り、時速15kmの速度が出るそうだ。

犬ぞりは2頭引き、4頭引き、6頭引きなど、偶数で引っ張ることができる。今回は4頭引きだ。


怖いけど、ハーネスをつける!

ここでは犬ぞりの犬の準備などは自分で行う。つまり自分でハーネスを犬につけないとダメなのだ。

怖い。私は犬が怖いのだ。だって話が通じないじゃん。

でも、つけないと先に進まない。漢への道は寒くて怖いのだ。

犬が速い!

ハーネスをつけて犬ぞりは始まった。今まで犬とは話が通じないと思っていたけれど、意外にもハーネスをつける時などは犬がおとなしい。つけるよ、と言うと寒さで固まったかな、と思うほど言うことを聞いてくれる。


犬ぞりがスタートしました!!

そして、走り出すと速い。


めちゃくちゃ速い!!!

今回のコースは16km。犬にしてみれば「ちょっと近所のコンビニへ」みたいな距離らしい。ちなみにここから近所のコンビニへはたぶん16km以上ある。何もないところだ。この集落には30人しか住んでいない。でも、エゾシカやクマはたくさんいるらしい。


ハイク!!!!

今回引っ張っている犬は「リー」「ビン」「バム」「オラ」の4頭。画像の右側先頭を走るのがこのチームのボスであるリーだ。リーとバムがオスで、ビンとオラがメスだ。オスとメスを混ぜることで、犬がやる気を出すらしい。人間と一緒だ。女子の前では男子はいいとこを見せようとするのだ。

みんな元気いっぱいに走っている。

乗っているこっちも実は一緒に走ることがある。上り坂などは一緒に走るのだ。犬ぞりはキツいのだ。


一緒に走る!

本来犬ぞりは平地を走るものだった。そのため坂道は一緒に走るのだ。ただ走り過ぎると犬のヤル気を削ぐらしいので難しい。

あと顔が痛い。寒い結果、痛くなっているのだ。犬ぞりは奥が深いのだ。


大自然を走るのは気持ちがいい!

そもそもバブルの時期に犬ぞりブームというものがあって、その頃は北海道のあちこちで犬ぞり大会などが開かれた。近年ではだんだんと下火になり、今では数えるほどしかない。ただアウトライダーでは毎年300〜400人が犬ぞりを体験し、そしてハマっていくそうだ。


結構体力が要ります!

犬は走りながら雪を食べていた。水分補給と熱を下げるためだ。

仲良しになる

また彼らは人をよく見ていて、人間がリーダーシップを発揮しないとなめられる。アウトライダーの村林さんが体験する人を見極めて、犬と人の組み合わせを考える。

リーダーの「リー」は、寡黙な職人。高倉健さんみたいな頼りになるヤツ。「ビン」はメスの中ではNo.1のリーダー的ポジションで村林さんの信頼も厚く、こちらも頼れる犬だそう。「バム」「ホラ」もこれまた、真面目で黙々と仕事をこなすタイプ。


職人たち

「あまり出しゃばらず、犬ぞりとはこういう感じなんだ、とそり犬たちが教えてくれるようなメンバーを選ばせていただきました。地主さんも、実は真面目な人!?だと感じましたし、波長が合うかなと思ったわけです。」

と村林さんの観察眼は並大抵のものじゃない。だって私が真面目って当たってるもの。

「犬たちと人間の相性は偶然の産物でもありキッカケは私が作りますが、後は人間の努力と犬たちがそれをどう捉えてくれるかです。」

組み合わせで走りが変わってくるそうだ。奥が深い。


たいへん楽しいです!

犬ぞりは手ごわい。犬のヤル気を維持させつつ、こちらもたまに走り、スピードを維持させないといけない。

犬は疲れ知らずで16kmくらいなら疲れることはないのだけれど、こっちが疲れて、犬になめられると言うことを聞かなくなる。

犬たちと心を通わせなくてはいけない。本当に奥が深いのだ。


犬とは仲良くなれました!

ただ犬とは仲良くなれた。あんなに怖くてここに向かう車の中で「帰りたい」とずっと言っていたのに、犬ぞりが終われば仲良しだ。愛おしく感じる。連れて帰りたいとまではいかないけれど、一緒に飲みたい、くらいにはなるのだ。


インスタに僕らの友情を載せたい


そして感謝を込めて、ご飯をあげる。


凍った鹿肉を砕いて


餌をあげます!


ありがとよ!

こちらではエゾシカの缶詰工場から出る、使用しなかった肉を犬の餌としている。カチコチに凍ったものを金槌などで小さくして犬にあげる。犬たちは人を絶対に噛まないけれど、餌の時は肉しか見えてないこともあるらしく、投げてあげる。あんなに硬かったエゾシカの肉を豆腐みたいな感じで食べていた。犬は強い。

疲れを癒やす風呂


人間は、


五右衛門風呂に!


現在マイナス19℃!

餌やりが終われば、人間はお風呂タイムだ。この雪の中に五右衛門風呂があって、水を運び、沸かすのだ。水を運ぶのも一苦労。その動きで暑くなるのだ! と書きたいけれどそんなことはない。

だって、マイナス19℃なのだ。日が暮れてさらに寒くなった。


服を脱いで、


入ります

実は犬ぞりもさることながら、この時間が印象的だった。

温かいお湯に浸かり、空を見上げる。星空が美しいのだ。近くに光がないので星が怖いほど見える。犬の怖さとは違いロマンチックな怖さだ。怖さにもいろいろあるのだ。


これも、


怖いんだけどね!


だって凍るんだよ!

お湯でタオルを濡らして、振り回すと凍った。それほどに寒いのだ。そんな場所でよく裸になったなと思う。この後も怖い。お風呂から上がらないとダメなのだ。

心の準備ができるまでの20分、ずっとお風呂に浸かり空を見ていた。都会では絶対に見ることのできない星空だった。


周りはもう真っ暗

ゲルに泊まる

お風呂から出ると、犬小屋の横にあるゲルで晩御飯となる。ここで食事をして、眠り、朝を迎えるという内容だ。ゲルには薪ストーブがあり暖かく、中ではアウトライダーのオーナー村林さんが晩御飯を作ってくれている。


この中に、


ゲルがあり、


村林さんが、


目の前で食事を用意してくれる

村林さんはもともと家具職人を目指していたが、途中でカヌー作りに目覚め、南富良野に移住してさらに犬ぞりで出会い、アラスカなどに犬ぞりを学びに行き、今は白滝で廃校を利用して犬ぞり体験を行っている。全ての犬のボスでもある。


鹿肉(背ロース)を、


食べます!

村林さんは犬ぞりの話をしながら手際よく何品も晩御飯を作ってくれる。特にエゾシカの背ロースを焼いたものは絶品だった。臭みはなく柔らかく、そして美味しい。犬が鹿肉を心待ちにしている意味がわかった。美味しいからだ。


美味しい!!

ちなみにこのゲルも村林さんの手作りだ。

夏場は犬ぞりができないけれど、カヌー作りを教えているそう。犬ぞりも手作りだ。地元の方は、都会からわざわざ飛行機や車でここまできて、犬ぞりという原始的な乗り物に乗るということに驚いているらしい。


寝袋で就寝


食事が終われば薪ストーブを消して、寝袋に入る。外では犬たちが遠吠えをあげている。1頭が鳴き出すと全頭がつられて鳴くのだ。そんな鳴き声を子守唄に眠りについた。

♢♦︎♢♦︎♢

疲れからか気づけば朝でそこはマイナスの世界だった。


朝になりました!


ゲルの中のお茶が凍っています!

ゲルもストーブを消せばマイナスの世界になる。そんな世界で眠ったことはなかった。ちなみに犬はマイナス20℃でも全然元気。むしろ夏の方が弱いそうだ。ただ人間は寒さに弱く、寝袋から出るのはかなりの勇気を必要とした。


最高の1泊2日でした!!

犬ぞりと冬の世界

あんなに怖かった犬とも、犬ぞりを通して仲良くなれた。

マイナスの世界では今まで体験していなかったことが起きた。全てが凍ったり、痛かったり。「手ごわいぞ!」というのが感想だ。

もちろん楽しいのだけれど、もっと高みを目指したいと思う。アラスカとかに行ってしまおうか、と考えるのだ。

実際にそういう人も多いらしく、ここで犬ぞりなどにはまり、本当に行ってしまうらしい。確かにその気持ちがわかる。この手ごわさこそが楽しく感じられるのだ。


めっちゃ笑顔だった!

取材協力

有限会社Outrider
北海道紋別郡遠軽町白滝上支湧別235
MAIL : info@outrider.co.jp
Open : 10:00〜16:00
Tel/Fax : 0158-48-2911

※お風呂とゲル宿泊は通常の体験コースには含まれていないため、ご用意できない場合があります。


書いた人:地主恵亮

1985年福岡生まれ。基本的には運だけで生きているが取材日はだいたい雨になる。2014年より東京農業大学非常勤講師。著書に「ひとりぼっちを全力で楽しむ」(すばる舎)、「妄想彼女」(鉄人社)がある。
Twitter:https://twitter.com/hitorimono / Facebookページ:https://www.facebook.com/jinushikeisuke

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編集:はてな編集部