木彫り熊発祥の地、八雲で愛くるしい熊を堪能したら自分の原点を見つめ直せた

木彫りの熊のことを何も分かっていない

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私は、木彫りの熊のことを全然知らないな。

「Yorimichi AIRDO」をご覧の皆様、こんにちは藤原麻里菜と申します。

私は「無駄づくり」という無駄なものを作ることを仕事にしている。「インスタ映え台無しマシーン」だとか「札束でぶたれるマシーン」だとか、地球の大切な資源を使って無駄なものを作っている。

物作りが人生の中で大きな存在。だからといったわけじゃないけれど、麺が上下する蕎麦屋のマシーンとか、木彫りの熊とか。日常に紛れているアイコニックな物体に対して、人よりかは関心が高い。そして、そういうのに関心を持つところが、なにか特別な才能みたいに思っているところもある。恥ずかしながら。

そんな中で、ふと気づいた。木彫りの熊のこと、何にも知らないなって。

おばあちゃんの家にあった鮭をくわえた木彫りの熊。北海道土産である。ということが、生きていくうちにごく自然にインプットされているけれど、よく考えてみると、木彫りの熊ってなんなんだ。どこから発生して、なぜ床の間に存在するのだ……。みんな、木彫りの熊が何かを分かっていて受け入れているのだろうか。もしかして、知らないのは私だけなんじゃないか……。

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函館空港に降り立ち

木を彫って熊にする。それは分かる。でも、なぜそれが北海道土産なんだろう。北海道といえば熊。というよりかは、北海道といえば木彫りの熊。ということになっているのが不思議に思えてきた。

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車で1時間半ほど走ると

木彫りの牛でもなければ木彫りの白い恋人でもないし、木彫りのジャガポックルなんかでもない。なぜ熊なのだ。

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海沿いにある

考えれば考えるほど、ミステリーである。その謎を解き明かすため、私は北海道の八雲町に来た。

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木彫りの熊の街、八雲に到着

木彫りの熊の謎を解き明かすため、八雲町へ

八雲町は、函館から車で1時間半、北海道の尻尾の中ほどにある町だ。この説明をたくさんの人にしてきたが、「北海道の尻尾の中ほど……?」と、全く伝わらなかった。でも、ほんとうに北海道の尻尾の中ほどにあるのです。各自、Google Mapで調べてください。

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なぜ八雲町に来たかというと、「八雲町 木彫り熊資料館」があるからだ。インターネットというすごいやつを使って調べたところ、どうやら木彫りの熊は八雲町が発祥らしい。

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著名すぎる作家さんたちがこの資料館を訪れている

それにしても、まさかこの世界に木彫り熊の資料館があるとは思わなかった……。鮭をくわえた熊がズラリと並んでいるのだろうか。それは壮観だし、めちゃくちゃ楽しみだ。

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激おこな木彫り熊が出迎えてくれた

階段を登って2階の部屋に入ると、そこにはとにかくたくさんの木彫りの熊があった。しかし、私が想像していたのとは違う。

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鮭をくわえた熊がズラリと並んでいるわけではなくて、見たことのない熊たちがそこにはあった。

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控えめに言って、むちゃくちゃかわいい


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か、かわい……(八雲産業株式会社管理資料)


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学芸員の大谷さん

今回は特別に、学芸員の大谷(おおや)さんにお話を伺えることになった。大谷さんは、考古学を勉強されていたらしい。この木彫りの熊資料館を作るにあたって、木彫りの熊の歴史を調べ上げた木彫りの熊スペシャリストと言える方だ。

きっかけはヨーロッパ旅行にあった

木彫りの熊の歴史は、第一次世界大戦が起こった頃まで遡る。当時、八雲町ではじゃがいも栽培して片栗粉を製造し、ヨーロッパに売る産業が盛んだった。しかし、戦争が終わったことでヨーロッパは自国で片栗粉を作るようになって、八雲町の片栗粉は売れなくなってしまった。戦後の恐慌もあり、経済的に困窮した状態になったそうだ。

「そんなときに、八雲町で『徳川農場』を経営していた尾張徳川家の当主、徳川義親がヨーロッパ旅行にいったんです」

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この話を聞いて私は、「いやいや、町民がたいへんなときに呑気にヨーロッパ旅行ですか」と引いた。権力者ってマジでそういうとこあるよね。

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つぶらな瞳がきゃわいい。この熊が参考にされたスイスの木彫り熊だ(八雲産業株式会社管理資料)

「義親はヨーロッパにただ遊びに行ったのではなく、農村などを観察し2つのものと出会います。一つはデンマークの酪農。八雲は酪農が有名ですけど、これは義親がデンマークから持ってきたものなんですよ。そしてもう一つがスイスのペザントアートです」

「ペザントアート」とは、農民美術という意味。農民がオフシーズンにする副業としてスイスでは広まっていたそうだ。工芸品を作って、それを土産として販売する。そして、このペザントアートが木彫りの熊のはじまりである。

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中央から左がスイスの作品、右が八雲の作品(八雲産業株式会社管理資料)

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(八雲産業株式会社管理資料)

酪農とペザントアートの2つに出会い、義親はそれを八雲町に持ち帰った。……めちゃくちゃにすごい人じゃん。さっきはごめんなさい。

「義親のすごいところは、ただ町民に『やれ』と命ずるのではなく、まず自分がやってみせるところなんですよ。これが、義親が作った木のお盆です」

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(八雲産業株式会社管理資料)

なんだよ、義親。めちゃくちゃに良い人じゃん。好き……。

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木彫りの熊資料館のそばに義親の像があるので行ってみることにした。「徳川さん」と名前が彫られている。

徳川さん。いや、徳川さんって……! なんだか、近所のおじちゃんみたいな扱いである。気になって調べたところ、徳川義親は殿様にもかかわらず町の人々に「徳川さん」と呼ばれるのを好んでいたそうだ。

……なんだそれ。全エピソードが良過ぎる。義親、推せる。

もしかしたら熊じゃなくて狸だったかもしれない

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北海道第1号の木彫り熊(八雲産業株式会社管理資料)

そして、八雲町の人々はペザントアートに挑戦する。義親が持って帰ってきたスイスの土産品を模倣しながら見よう見まねで作ってみたのだ。

「スイスの土産品に木彫りの熊があったので、それを真似して作ったようです。でも、熊以外にもいろいろ作っていたんですよ。スキー板とか、この河童にしか見えないたぬきとか」

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これは紛れもなく河童にしか見えないたぬきだ(八雲産業株式会社管理資料)

「各地で副業品の品評会が開かれていて、八雲から出品されて賞を受けるのは木彫り熊でした。さらに義親はアイヌと山に入って、ともすれば害をなす熊を狩ることもしていたので、北海道らしい熊・アイヌと、八雲の恩人である尾張徳川家の三者をつなぐものとして木彫り熊が選ばれ、八雲をもっともよく表すペザントアートとしてどんどん作られました」

品評会でこのたぬきが賞をとっていたら、北海道土産といえば河童にしか見えないたぬきになっていたかもしれない。その世界線も見たい気もする。

模倣からオリジナルへ

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スイスの模倣から始まったものだが、だんだんと日本独自の技法を取り入れるようになっていく。

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例えば、この作品。背中のこぶから放射線状に毛並みが彫られている。

「このふわりとした毛の流れは、日本画に見られる手法なんです」

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曲線のあたたかみがあり、撫でたくなる

「昭和初期になると、彫り師の個性やアイディアが強くなってきますね。ふわりとした毛の熊や、面の大きい熊、あとは擬人化された熊などもあります」

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農民の副業から始まった木彫りの熊だけれど、だんだんと芸術性が高くなってくる。彫り師の柴崎重行さんと根本勲さんが共同で作った作品は、道内を2人で歩き、大自然に感動した後、切株を使って制作したそうだ。

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お腹が空いていたのでからあげに見えてしまったが、だんだんと熊の輪郭が浮かび上がってくるから不思議だ。

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「円空仏という仏像のようだとも言われています」と、大谷さんは話す。柴崎さんは生前、「モチーフは熊にしているけど、熊を彫るというより、熊に似てない熊を彫りたい」と話していたそうだ。きっと、熊を彫る人にしか分からない何かがあるんだろうと思う。

鮭をくわえたあの熊はどこに?

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木彫りの熊の奥深さにだんだんのめり込んできたけれど、ここまでで、鮭をくわえた熊がでてきていない。

「実は、鮭をくわえた熊は八雲町ではほとんど作られていないんですよ」

えー、まじですか。

北海道土産として木彫りの熊が人気になったのは昭和10年前後の第一次観光ブーム。この頃は八雲の木彫り熊もたくさん売れていたそう。一方でアイヌの木彫り熊も有名になり始めたのもこの頃。第二次世界大戦後の昭和30年代からの第二次観光ブームでは、新婚旅行などで北海道に行き、食べ物のように腐ることのない工芸品がお土産として定番になったそうだ。そのときには八雲町では2人ほどしか作家がおらず、むしろアイヌの木彫り熊として道内全域で作られ、有名になっていた。

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海外旅行が国民の自由ではなかった頃、新婚旅行に北海道を訪れる人が多かったそうだ。汽車やバス、船で何日もかけて北海道に行くため、お土産に食べ物を選ぶと帰っている途中で腐らせてしまう。そのため、工芸品がお土産の定番だった。餞別をもらって旅行に行くため、そのお返しとして50体とかの木彫り熊を買って帰ったという話も。

「とにかく大量に作らなくてはならなくなったので、彫り師の手作業ではなくマシーンを使って一気に6体も彫っていたようです」

そして、鮭をくわえた荒々しい熊が北海道らしいと、観光客に最も人気のお土産になったのだ。おばあちゃんの家にあった熊は、このときに作られたものかもしれない。

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「食べ物のお土産が重宝されるようになってからは、木彫りの熊は必然的に売れなくなっていきました。後継する人もあまりいなくて、今は八雲町に彫り師の方はほとんどいない状態ですね」

木彫りの熊の教室などは開催されているけれど、彫り師となって伝統的な作品を作って販売する方はもういないそうだ。

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八雲町木彫り熊資料館
・住所:北海道二海郡八雲町末広町154番地
・TEL:0137-63-3131
・開館時間:毎週月曜日、祝祭日を除く9:00〜16:30

www.town.yakumo.lg.jp

大谷さんが丁寧に歴史を教えてくれたおかげで、謎が全て解き明かされた。そして、どんどん木彫りの熊にハマっていく自分もいた。後継者がおらず、もう購入できないなんてちょっと悲しい。そんなときに、耳寄り情報を教えてくれた。

「八雲町に住んでいる小熊さんという方が趣味で彫り始めて、駅前にあるホーラクという木彫り熊がたくさん展示されている喫茶店で販売されていますよ」

二つの海にはさまれている八雲町

頭はすっかり木彫りの熊のことでいっぱいだ。ただ、素敵な作品さえもちょっとだけからあげに見えてしまうほどに私はお腹が空いている。

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ホーラクに行く前に、ご当地カレーを生み出したお店のひとつとして有名な「まるみ食堂」にやってきた。その名も「二海カレー」。

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二海カレースペシャル

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おいし……

八雲町は、太平洋と日本海に挟まれている町なのだ。そんな2つの海をカレーで表した一品である。前々から、カレーって海っぽいな……。と思っていたので、同じ感性で作られたものと出会えて感無量です

白いカレールーは八雲町のミルクを使用。マイルドな味とホタテの旨味がベストマッチ。八雲ポークのカツもジューシーかつボリューミーだ。問答無用でうまい。

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まるみ食堂の入り口にも八雲の木彫りの熊が

まるみ食堂
・住所:北海道二海郡八雲町本町125
・TEL:0137-62-2734
・営業時間:11:00~20:30 不定休
tabelog.com

名前に熊が入っているから彫りはじめた

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まるみ食堂からほど近くに、木彫り熊資料館で教えてもらった木彫りの熊だらけの喫茶店「ホーラク」があった。

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店内のいたるところに並ぶ木彫りの熊

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喫茶ホーラクのマスター

お店には木彫りの熊を作っている小熊さんがいらした。小熊さんは、ホーラクの常連で、木彫りの熊づくりは数年前にはじめたそうだ。

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小熊さん

その理由を聞くと、「友達に『名前に熊って入っているから、熊彫ってみなよ』って言われたんですよ。それがきっかけで彫りはじめたら楽しくなっちゃって」と、教えてくれた。ノリが軽くてすてきである。

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小熊さんの作品

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ちっちゃくてかわいい

「最初は柴崎重行さんの熊を模倣して彫っていたんだけどね、最近は、だんだんと自分の個性みたいなものがちょっとだけ見えてきたかなーって」

模倣から物作りを始めたこと。そこから自分らしさを見つけること。なんだかその2つが私自身の人生と重なっていて、心に残る一言だった。

小熊さんの作った熊を見ていると、小熊さんのやわらかい人柄が形になっているように感じた。

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小熊さんの作品はホーラクで販売されているのだが、その売り上げは全て柴崎さんのアトリエの保存につかわれるそうだ。

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そして、ホーラクの店長は、どことなく吉幾三に似ていた。「たまに言われるんだよね。じゃあ、吉幾三の新曲歌うよ」と、マイクを握って歌ってもらった曲が心に沁みました。

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帰り際に小熊さんの作品の中で一目惚れした熊を購入させていただいた。

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ホーラク
・住所:北海道二海郡八雲町本町145
・TEL:0137-63-2367
・営業時間:平日10:00~24:00 土日祝17:00〜24:00
tabelog.com

ゆっくり温泉に浸かって熊について考える

木彫りの熊ざんまいである。ここまで木彫りの熊に一日でのめり込んだ人間は私以外いないであろうと、不思議な自信がある。

八雲町は海だけでない。内陸部にいくと自然豊かな山々があり温泉も湧き出ている。

夜は、八雲駅から車で30分ほどの山の中にある旅館「おぼこ荘」に泊まらせていただくことになった。

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道中の車窓からは、山々の雪景色が見えて、自然の厳しさと情緒を同時に感じることができた。

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ここおぼこ荘の親会社が鮮魚店も経営しているため、直接水揚げされた魚介をセリで購入しており、新鮮な海の幸も味わえるそう。

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てんこ盛りの魚介

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それを炉端で焼く

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うま……

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地元の人に教えてもらった日本酒「今宵八雲」

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水のようにさらっと飲みやすく魚との相性抜群でした

夕食をいただきながら、木彫りの熊のことを考えていた。スイスで作られたものの模倣から独自に進化した。そして、それが受け継がれ、また新しいものが生まれてくる。そのつながりに、生命のようなものを感じてきた。

技術や伝統を継承するのはむずかしい。そんな中で、小熊さんはこう言っていた「たくさんの人に、気軽に熊を彫ってほしいんだよね」

(恐れ多いけれど)一応、物を作る人間として、この小熊さんの言葉にはとても共感したし、含蓄のある一言だと感じた。

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おぼこ荘にも木彫りの熊が

物を作るにはある程度の技術が必要だ。でも、そんなこととは別に、物を作ることでしか分かり得ない世界というものがある。それは、技術とは全く関係がない。作ることで、自分自身の輪郭が現れてくるのだ。

数年前に熊を彫り始めた小熊さんは、コンスタントに熊を彫り続けていた。「最初の方は下手だからあんまり見ないでほしい」と笑いながら言っていたけれど、きっと彫ることで分かることがたくさんあったのではないかと思う。

私も、今までに200個以上の無駄なものを作った。側から見ると、無意味に思える行為だけれど、私にとっては自分の輪郭を形にしていく、人生でとても大切な作業なのだ。

その中で、この楽しさをもっと他の人にも感じてほしいなと思う瞬間がたくさんある。

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内風呂は「美人の湯」として有名なのだそう。やったね。

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露天風呂は鉄分を含んだ黄土色

そんなことを露天風呂に浸かりながら考えていた。雪の中の露天風呂。テンションがあがって、全裸のまま雪に突っ込んだ。

おぼこ荘
・住所:北海道二海郡八雲町鉛川622
・TEL:0137-63-3123
・営業時間:11:00~20:00
www.h-ffs.com

物づくりと熊

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八雲町に来て、木彫りの熊の魅力にどんどんハマっていく。そして、資料館の大谷さん、小熊さん、ホーラクの店長、旅館の人たち。八雲町で出会う人たちは、みんな木彫りの熊が大好きだった。

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お土産にかわいい手ぬぐいやマスキングテープ、ワッペンを購入(著者撮影)

木彫りの熊はもう販売されていないけれど、お土産向きに手ぬぐいやマスキングテープなどが道の駅に売っていた。

丘の駅
・住所:北海道二海郡八雲町浜松368-8
・TEL:0137-65-6100(10:00~18:00)
・開館時間:10:00~18:00
・休館日:5月~10月末 無休/11月~3月末まで毎週月曜日(月曜日が祝祭日と重なった場合は祝祭日明けの平日が定休日)
panorama.town.yakumo.hokkaido.jp

ʕ•ᴥ•ʔ


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著者撮影

東京のアトリエに帰って、端材を探した。小学生のときに買った彫刻刀を取り出して、私も熊を彫ることにした。

やっぱり、めちゃくちゃ難しくて、思うようには彫れない。びっくりするほど下手だ。

まず木材から完成形をイメージして掘り進めるのにコツがいる。思うような形には全くなってくれない。彫ってほって、どんどん小さくなっていく。これは、あれだな。終わりがないな。熊に見えるのか、これ。と思いながらも、いや、これは熊だ。と、言い聞かせてた。

インターネットで作品を発表していると、「下手くそだ」とコメントがくるときがけっこうある。うるせえばか、と思いながらも、心が少し縮んでいく感覚にもなる。

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でも、今は小熊さんの言葉が響いてくる。誰でも彫っていいんだよ。

撮影:辻 雄貴

著者:藤原麻里菜

頭の中に浮かんだ不必要なものを何とか作り上げる「無駄づくり」を主な活動とし、YouTubeを中心にコンテンツを広げている。2016年、Google社主催の「YouTube NextUp」に入賞。2018年、「無用發明展- 無中生有的沒有用部屋in台北」を開催。総務省異能vation採択。でも、ガールズバーの面接に行ったら「帰れ」と言われたことがある。
Twitter:@togenkyoo
ブログ:藤原麻里菜のブログ
YouTube:無駄づくり / MUDA-ZUKURI - YouTube


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企画編集:はてな編集部