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温泉ソムリエぐっちがオススメ!北海道のモール泉の聖地「十勝川温泉」の源泉かけ流し温泉3選

f:id:airdoblog:20161228180446j:plainさぶっ。

Yorimichi AIRDOをご覧のみなさん、こんにちは。

温泉ソムリエぐっちです。

 

今回は東京からAIRDOの帯広行きに乗って、北海道帯広市のすぐ東側の音更(おとふけ)町にある十勝川温泉へ行ってきました。

そしていつものように、「源泉かけ流し」さらに「消毒していない温泉」に拘り、温泉を巡ってきました。

では、早速行ってみましょう!

f:id:airdoblog:20161228180529j:plain十勝川温泉は全国的にも珍しいモール泉と言われる温泉です。

モール泉とは植物由来の有機物(腐植質)が溶け込んでいる温泉です。

ちょっとわかりにくいですね。

 

では、もう少し詳しく説明を。

植物が地中で長い時間経過すると炭化し、いずれ石炭になるわけですが、石炭になりきる前の状態のものを亜炭(あたん)と言い、これが腐植質と呼ばれております。

この腐植質を含んでいる温泉をモール泉と言い、「モール」とは亜炭などをさすドイツ語に由来しています。

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モール泉は湧き出した時から烏龍茶やコーラのような茶褐色に色づいています。

その他の温泉は実は湧き出した時は全て無色透明で、その後空気に触れることにより白や茶褐色などに変色する場合があるのですが、モール泉は湧き出た時から色づいている珍しい温泉です。

 

モール成分を豊富に含んでいる温泉は、重曹成分が増え、アルカリ性寄りになる傾向がありますので、いわゆる美肌の湯と言っても過言ではないでしょう。

浴感はかなりのツルツル系!

特に女性におすすめの美肌の湯です!

 

 

十勝川温泉観光協会の窪様を突撃取材! 

まずは十勝川温泉について学ぶため、十勝川温泉観光協会の窪様を訪ねました。

f:id:airdoblog:20161228180610j:plainぐっち:おはようございます!

窪さん:ようこそ十勝川温泉へ!

ぐっち:寒いですねぇ~。

窪さん:え?今日は温かいほうですよ。冬はまだまだこれからですよぉー。

ぐっち:(まじで?めっちゃ寒いんですけど・・・。)

f:id:airdoblog:20161228180635j:plainぐっち:え~、早速質問ですが、十勝川温泉っていつ頃からあるのでしょうか?

窪さん:1900年頃にぬるい湯が湧き出しているところがあり、地元の人がそれを沸かして利用したのが始まりと言われています。その後温泉を掘り、なんとか沸かさずに利用できる温泉が出てきた事から、宿泊施設として営業を始め、現在に至っています。

ぐっち:十勝川温泉は日本有数のモール泉って聞いてるのですが。

窪さん:そうなんですよ!こちらを見てください!

f:id:airdoblog:20161228180707j:plain窪さん:これは十勝川で取ってきたモール泉の素なのですが、植物が酸素に触れずに地中で完全に炭化する前の亜炭と言われる状態のもので、ここの亜炭層を通して湧き出る温泉がモール泉です。この辺り一帯はこのような亜炭が地中に含まれているんですね。

ぐっち:モール泉の素を初めて見て感激です!これを粉にしてモール泉の素として販売したらめっちゃ売れるんじゃないですかね?

窪さん:・・・・・・。

 

ぐっち:今年の夏の台風で北海道はかなりの被害があったと聞いたのですが、十勝川温泉も被害があったのでしょうか?

窪さん:実は十勝川温泉はほとんど被害がなく、川沿いの宿1軒だけが水害にあっただけです。ただ、道路や鉄道が寸断されたりして、お客様がかなり減ってしまいました。

実際の被害というよりは風評被害のほうが大きかったように思います。

ぐっち:そうだったんですか。風評被害は観光地にとって大打撃ですよね。では、十勝川温泉を記事にして、微力ながら応援させて頂きますね!

窪さん:よろしくお願いします!

 

名湯に名物女将の「丸美ヶ丘温泉ホテル」は日帰りメインで

それでは、1軒目に紹介するのは温泉通の間で評価の高い丸美ヶ丘温泉ホテルです。

ホテルと言っても今は日帰り入浴がメインで、泊まることは出来ても素泊まりのみとのこと。

f:id:airdoblog:20161228180814j:plain建物は、それなりに年季が入っております。

では、早速お風呂へ。

f:id:airdoblog:20161228180931j:plain露天風呂はなく、内湯のみ。

内湯には大きい浴槽がひとつ、そして小さめの浴槽がひとつだけ。

大きな窓からは木々が見渡せ、内湯と言えど開放感があります!

 

では、まずは大きな浴槽から。

f:id:airdoblog:20161228181004j:plainわかります?

お湯がかなり黒っぽいんですね。

もうちょっとわかりやすい写真をお見せしますと、

f:id:airdoblog:20161228181041j:plainねっ。

烏龍茶のような色をしているんですね。

これぞモール泉の醍醐味で、腐植質がお湯に混ざり込んでいる証です。

そして、

f:id:airdoblog:20161228181057j:plain見えますでしょうか?

細かい泡が腕に付着するんですね。

新鮮な温泉でしか味わえない「泡付き」現象です。

(※泡付き現象とは湧き出した直後の温泉に気体が残っていて、その気体が体に付着する現象のことです。)

 

浴感は、とってもヌルツル!

ヌルヌルのようなツルツルのような肌触り。そして香りは藁(わら)のようなおがくずのような感じです。温度は結構熱めですので、気持ちが良くても長湯は禁物ですね。

泉質は「単純温泉」で、腐植質は3.5mg/kg含有しています。

 

では、もうひとつの小さめの浴槽へ。

f:id:airdoblog:20161228181117j:plainこちらはかなり透明に近い薄い色のお湯。

泉質は「単純温泉」で、腐植質は1.0mg/kg含有しています。

そうです、ここ丸美ヶ丘温泉ホテルでは、泉源が2ヶ所あるんですね。

(※泉源とは温泉が湧き出しているところ。)

それらの温泉が別々の浴槽に注がれています。

f:id:airdoblog:20161228181135j:plainそして、この小さい浴槽の湯は、かなりぬるめです。

35℃程度でしょうか。

いわゆる不感温度で、長湯するにはちょうど良い温度です。

(※不感温度とは、体温と同じ程度で、長湯しても体への負担が非常に少ないと言われています。)

さらに、熱い浴槽よりこちらのほうがさらにたっぷりの泡付き現象が!

素晴らしい泡付きでした。

 

大きい熱い浴槽で温まり、小さいぬるい浴槽でクールダウンし、それを繰り返す。

最後に大きい浴槽で温まって上がれば、血行促進抜群です。

行かれた際には是非お試し下さいませ。

 

最後に熱い浴槽で常連さんとお話しさせて頂きながら、しっかり温まってから上がりました。

f:id:airdoblog:20161228181153j:plain湯上り後にちょっとミステリアス?な女将の後藤さんにお話を伺いました。

f:id:airdoblog:20161228181215j:plainぐっち:ほんといいお湯でした。ありがとうございました。

後藤さん:でしょ。ほんとにここのお湯はいいのよ。

f:id:airdoblog:20161228181235j:plainぐっち:なんていうのでしょうか、いわゆるモール泉ですよね。

後藤さん:その通りよ。モール成分がたっぷり含まれているから紅茶のような色になっているのよ。そしてツルツルしたでしょ。

ぐっち:そうなんですよ!すっごくツルツルでびっくりしました!

後藤さん:私共の温泉は1974年(昭和49年)創業です。最初はぬるいほうの温泉でのスタートでしたが、ぬるかったので沸かして使用していました。しかし、経費がとてもかかるため、沸かし続ける事が難しいと判断し、もう1本の温泉を掘る事にしたんです。

この時、信じて頂けないかも知れませんが、私のインスピレーションで、いついつ何時に何度のお湯が出ると予言し、その後、その通りの熱いお湯が湧き出たんですよ。

ぐっち:え?!

後藤さん:源泉かけ流しは人生のご褒美です。心を遊ばせながらご堪能下さいませ。皆さんにこの癒しの湯に巡りあって頂きたいと思って居ります。ぐっちさん、またいつでもいらっしゃって下さいね。

ぐっち:ありがとうございました。またいつか必ず来ます!

 

ということで、丸美ヶ丘温泉ホテルをあとに。

後藤さんは、私が見えなくなるまで見送ってくれました。

 

 

巨大ホテルでもドバドバの源泉かけ流し!「十勝川国際ホテル筒井」は温泉通好みな穴場?!

次に向かったのは、十勝川温泉中心部より少し北に位置する十勝川国際ホテル筒井

f:id:airdoblog:20161228181253j:plain幹線道路からの入口には、鳥居がドーン!

まっすぐな1本道の奥に十勝川国際ホテル筒井がそびえ立っています。

鳥居の左側には一休さんが佇んでいらっしゃいました。

 

早速お風呂を頂きました。

内湯から。

f:id:airdoblog:20161228181309j:plain大浴場のメインの浴槽には、湯口から温泉がドバドバと注がれ、浴槽の縁からザバザバとかけ流されています。

f:id:airdoblog:20161228181328j:plainモール泉ならではの烏龍茶のような色のお湯からはモール臭と金気(かなけ)臭が混ざったような香りが漂う逸品。

(※金気臭とは、金属っぽい鉄のような香りです。)

温度は40℃程度なので、ゆっくりと入ることが出来ます。

 

泉質は「単純温泉」で、腐植質は8.2mg/kg含有しています。

f:id:airdoblog:20161228181347j:plain浴槽がほどほどのサイズなため、お湯の鮮度は高かったです。

また、窓一面がガラス張りなため、とても開放感がありました。 

f:id:airdoblog:20161228181404j:plain露天風呂では、お客さんと一緒に楽しく会話しながら湯浴みを楽しませて頂きました。

決して広いとは言えないサイズですが、適度な開放感と山に降り積もった雪を眺めての雪見風呂はやっぱいいですよね。

f:id:airdoblog:20161228181427j:plainこちらは女性の露天風呂です。

幸いにもお客さんがいらっしゃらなかったので、特別に撮影させて頂きました。

男性用の露天風呂に比べ、風情も開放感も抜群!

一般的に温泉宿のお風呂は男性用が恵まれている傾向がありますが、こちら十勝川国際ホテル筒井では、どうも女性のお風呂の方が恵まれているように思いました。

f:id:airdoblog:20161228181444j:plainまた、大浴場にはこのようなとっても小さな浴槽があります。

入ると30℃程度のとってもぬるいお湯?お水?

こちらは温泉ではなくて井戸水がそのままかけ流されているとのことでした。

しかし、浴感は温泉に匹敵するような素晴らしいものでした。

是非こちらも入ってみてくださいませ。

f:id:airdoblog:20161228181508j:plainそして、何より一番秀逸だったのが、ラドンを人工的に含ませた浴槽です。

ラドンは気体で、鼻から吸引することにより体の免疫力を高める効果があると言われています。また、ラドンは無臭のため、感じることは出来ません。

こちらの浴槽は小さめですが、川のような状態で湯が溢れ出て行っています。さらにラドンが逃げないよう締め切られた空間のため、お湯の香りも部屋中に充満していて、温泉を一番味わえる浴槽になっています。

 

ここの浴槽は最高級のかけ流しの温泉と言っても過言ではないでしょう。

 

たっぷりと温泉を味わわせて頂いた後に、若女将の筒井さんにお話をお伺いしました。

f:id:airdoblog:20161228181528j:plain筒井さん:お湯、いかがでしたか?

ぐっち:いやぁ~、ほんまに最高でした!正直これだけ大きなお宿ですので、あまり期待していなかったのですが、実に素晴らしかったです!

筒井さん:ありがとうございます。私もここの温泉、本当に好きで毎日入れて幸せなんですよ。

ぐっち:天国に住んでるような感じですよね。

筒井さん:ほんとにそのような感じですね。

f:id:airdoblog:20161228181545j:plainぐっち:あのぉ・・・とってもお若いですよね?

筒井さん:あのぉ・・・実は中学1年生と小学4年生の子供がおります・・・。

ぐっち:はい?

筒井さん:実は・・・今37歳なんです・・・。

f:id:airdoblog:20161228181600j:plainぐっち:(絶句)・・・やはり温泉のおかげなのでしょうか?

筒井さん:それは私にもわかりませんが、そうかもしれませんね。

ぐっち:今度は妻と一緒に泊まりに来ます!

筒井さん:是非是非!お待ちしております! 

f:id:airdoblog:20161228181620j:plainフロントで記念撮影をさせて頂き、お宿を後にしました。

 

十勝川国際ホテル筒井のお湯はホンモノで、非常に素晴らしかったです。

一般の方から温泉に拘る方まできっと満足して頂けるでしょう。

 

 

十勝川温泉中心部で貴重な源泉かけ流しの温泉「富士ホテル」

十勝川温泉の多くの温泉施設では温泉を一箇所のタンクに貯めて各お宿に配湯する集中管理方式を採用されています。

これは湯量が減ってきたための賢明な策でもあるのですが、場合によってはお湯を循環ろ過や塩素消毒をしなければならない場合もあるようです。

そのようなことをして、大きな浴槽や大きな露天風呂にすることも可能だったりするわけですが、私はやはり湧き出した温泉をそのままダイレクトに味わいたい!

そんな中、探して見つけたのがこちらの富士ホテル

f:id:airdoblog:20161228181638j:plain外観は新しく、ビジネスホテルのような雰囲気ですが、内部は随所にセンスが感じられました。

f:id:airdoblog:20161228181657j:plainロビーはとてもスタイリッシュで、ヨーロッパの小粋な宿のようです。

ゆえ、ここが温泉宿、それも源泉かけ流しの温泉とは思えないほど、いい意味で意表を突かれる素敵な空間です。

 

では、お風呂へ。

まずは大浴場から。

f:id:airdoblog:20161228181716j:plainシンプルな浴槽がひとつのみ。露天風呂はございません。

浴槽の縁から湯が静かに溢れ、流れ続けています。

色は薄めの烏龍茶のようで、モール成分によるものです。

f:id:airdoblog:20161228181740j:plainさすがに気持ちいいですね。

程よいツルツル感を感じつつ、温度は41℃程度でしょうか。まさに適温です。

泉質は「単純温泉」で、腐植質は2.1mg/kg含有しています。

 

また、富士ホテルには家族風呂(貸切風呂)が2つあります。

ということで、家族風呂にも入らせて頂きました。

f:id:airdoblog:20161228181808j:plain浴室に色気はございませんが、小振りな浴槽にしっかりと湯がかけ流されていました。

大浴場に比べ浴槽が小さいためか、大浴場よりさらにお湯の鮮度が高いように感じました。

とことんお湯に拘る方には、こちらの家族風呂がいいかもしれません。

 

湯上り後に支配人の小野さんにお話をお伺いしました。

f:id:airdoblog:20161228181827j:plainぐっち:ほんとにいいお湯でした。

小野さん:ありがとうございます。

ぐっち:十勝川温泉中心部でかけ流しの温泉って希少だと思うのですが。

小野さん:当宿では幸いにも独自源泉を持っていますので、かけ流しで温泉を提供できるんです。

f:id:airdoblog:20161228181842j:plainぐっち:そうだったんですね!そしてお宿は温泉宿っぽくないですよね。

小野さん:実は元々バスの運転手さん等が泊まる宿だったんです。その後、今から16年ほど前に立て直して完全リニューアルし、現在は主にご夫婦、カップル、ファミリー層の方々に利用して頂いています。

ぐっち:なるほど。道理で綺麗なわけですね。富士ホテルさんは新しい温泉宿の在り方のような気がします。

小野さん:ありがとうございます。

 

富士ホテルは新しく、館内はとても清潔で快適です。また、風情よりも機能性を重視される方や、温泉のお湯そのものをじっくり堪能されたい方にはきっとご満足頂けると思います。

 

 

そして、今回は温泉とは関係のない番外編で、十勝川温泉で見つけたおすすめスポットをご紹介させて頂きます。

 

【番外編】十勝川温泉唯一の老舗のお寿司屋さん「江戸金」

f:id:airdoblog:20161228181858j:plain十勝川温泉で、夕食のためにふらっと入ったこちら江戸金

ご夫婦で切り盛りされています。

昔は十勝川温泉には何軒かお寿司屋さんがあったそうですが、今となっては江戸金だけになったそうです。

f:id:airdoblog:20161228181912j:plainまずは上握りを。

f:id:airdoblog:20161228181928j:plainこれでアンダー2,000円!

あっぱれでした。

 

さらにちょこちょこ頂きまして・・・。

f:id:airdoblog:20161228181947j:plain至福の時間を過ごさせて頂きました。

 

温泉に泊まる際、温泉地の中の食事処へ行かれると思いがけない出会いや発見がありますよ。

これ、温泉旅の醍醐味のひとつですっ!!

 

 

まとめ:ぐっちオススメの十勝川温泉3選

十勝川温泉を3ヶ所巡り、モール泉の素晴らしさをとことん体感させて頂きました。

また、これら3ヶ所はツルツルする同じモール泉でありながら、源泉が異なるためそれぞれ微妙に違いがあります。

どこもはずれなし!と言うより、どこも大当たり!

これぞモール泉だ!という味わい深い温泉でした。

 

北海道へ旅行というよりも、

これらのモール泉の温泉に浸かるためだけに十勝川温泉へ行く価値があると私は思います。

世界的にも日本的にも類まれなる名湯・良泉に是非一度は浸かってみて下さいませ。

 

十勝川温泉、モール泉、万歳!

 ※本記事内容は2017年1月時点での情報になります。

 

書いた人:ぐっち

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1971年生まれ大阪人の温泉ソムリエ。ある時温泉に目覚め、その後生きている温泉に拘り、書いたり、しゃべったりして活動中。 生まれたまんまのお湯に入ってみ。きっとわかるから。

 ウエブサイト「源泉かけ流しどっとねっと