こんにちは! ライターの佐々木ののかです。
飛行機大好き女子“空美ちゃん”と一緒に、新千歳空港に降り立った私は、荷物タグに付いているアルファベット3文字の正体を突き止めるべく、新千歳空港内のAIRDOオフィスにお邪魔しました。
▼前回までのあらすじはこちら▼
そこで伺った、地上スタッフになるまでの気が遠くなるような努力の数々。カウンターに立って業務を行う地上スタッフさんは皆さん、たくさん修行をされてきた方々なんですね。
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ののか:でもさ、地上スタッフさんって具体的にどんなお仕事してるんだっけ? カウンター業務だけ?
空美:あれだけ感動しておいてそれはないですよ、ののかさん! 地上スタッフさんのお仕事はかなりハードなんですから。もう1度阿部さんにお願いして、地上スタッフさんのお仕事について密着取材させてもらいましょう!
というわけで、再度 、前回の記事にご登場いただいた地上スタッフの阿部さんに来ていただくことに。
ののか:阿部さん、お忙しいところ申し訳ありません。あれだけ感動したのに、実際どんなお仕事をするのかわかっていないことに今、気が付きました。
阿部さん:いえいえ、大丈夫ですよ。お客様がご存知ないのは当然ですので、説明させていただきますね。
ののか・空美:ありがとうございます!!!
カウンター業務だけじゃない! 地上スタッフさんのハードな1日
ののか:地上スタッフさんの始業って何時なんですか?
阿部さん:早番と遅番のシフト制なのですが、早番ですと朝6時に出勤です。遅番だと帰りは23時半くらいですね。
ののか:勤務体系だけで、すでにハード。
空美:出勤して最初の業務はカウンター業務ですか?
阿部さん:いえ、最初は「ブリーフィング」(申し送り)です。前日からの引継ぎや、その日の乗継便利用のお客さまや、ご妊娠されている方、介助が必要なお客さまの情報を共有します。申し送りで伝達できていないことがあると、最悪の場合、飛行機を出発させることができないので、実は1番重要な業務と言ってもいいかもしれませんね。
ののか:重要な業務なのはわかりましたけど、どうして飛行機を出発させることができなくなる可能性があるんですか?
阿部さん:はい。まずはご妊娠されている方の妊娠周期によっては命の危険を考えて、ご搭乗いただけないという規定があるんです。
それから介助が必要なお客さまに関しても、乗務員の人数とキャパシティの観点から、お乗りいただける人数に規定があり、どの程度の介助が必要かを正確に確認し、共有しておかなければいけません。
ののか:人の命に関わる仕事なだけに、毎日毎日が緊張ですね。
阿部さん:本当にそうですね。常に緊張感を持って働いています。
空美:その後に行うのが、カウンター業務ですか?
阿部さん:はい。カウンター業務は皆さんが想像されている通り、チケットの手配や荷物のお預かりがメインのお仕事です。ただ、イレギュラー対応になると、これが大変なんです。
ののか:イレギュラー? 天候が悪くなったり、ということですか?
阿部さん:はい、まさに。天候の影響で欠航や引き返し、別の空港に飛行機が着陸してしまったときなどに払い戻しや再予約、交通費や宿泊費の精算などをしなければなりません。
ののか:確かに、1つの飛行機に300人近く乗っていることもありますもんね。やっぱりイレギュラー対応があると、帰りも遅くなったり……?
阿部さん:そうですね。最後の手続きを終えて、空港を出るのが朝5時半になったこともあります。
ののか:朝5時半? 始業の時間じゃないですか! ハードすぎる……。
地上スタッフさんに聞く、保安検査場15分前通過がマストな理由
ののか:かなりハードでしたけど、お客さんが保安検査場を通ってしまえば、地上スタッフさんのお仕事は終わりですよね?
阿部さん:いえ、ここからが正念場です! お客さまが搭乗されて、飛行機が飛び立つまで私たちの仕事は続きます。
ののか:えぇっ、曲で言ったら全部サビみたいな感じじゃないですか!
空美:保安検査場を通った後はどんな仕事があるんでしたっけ?
阿部さん:はい。搭乗ゲート前でお呼び出しをしたり、バーコードをかざすお手伝いをする係員がいるかと思うのですが、実はあれが地上スタッフたちなんです。
ののか:あっ、見たことがあります! さっき“正念場”とおっしゃってましたけど、どんなところが重要ポイントなんですか?
阿部さん:はい。私たちは安全かつ定刻に飛行機を出発させることが最大のミッションなのです。
なので、混雑で保安検査場を通過できていないお客さまを見つけ出したり、搭乗ゲート前でお休みになられているお客さまにお声掛けをさせていただいて搭乗していただく、という大事な業務があります。
空美:いつもお客さまを探されている地上スタッフさんを見ると、時間までに搭乗ゲートに行かなきゃなぁと思います。
ののか:うん、私も保安検査場を10分前には通過しようと思った!
空美:ピピ―ッ! ダメですよ、ののかさん! 保安検査場を通過するのは15分前までです! 直前便と重なると混みあうこともあるので、早めに検査場を通っておくことを強く勧めます!!!
阿部さん:空美さん、代わりにありがとうございます。
ののか:すみません、肝に銘じておきます……。
定時運航の守り神たちのチームワーク
ののか:地上スタッフさんって、こんなに大変なお仕事だったんですね。
阿部さん:どんなお仕事でもそうだと思いますが、ツラいと思ったことは何度もありますよ。でも、やっぱり地上スタッフ仲間のおかげで乗り越えられています。
ののか:ん? でも、地上スタッフさんのお仕事って個人ベースのものが多いのでは?
阿部さん:基本的にはそうなんですが、離れていても無線で連絡が取れるんです。トラブルが起きて手が離せないときに、スイッチをONにしておいたことがあったんですが、「様子がおかしい」と思った同僚が駆けつけてくれたことがあって、あのときは助かりました。
空美:まさにチームワークですね。
阿部さん:はい。あと最初のころは特に、不慣れゆえのミスが多かったんですが、そのたびに先輩や同僚にカバーしてもらって、励ましてもらって今まで続けていられる感じです。
みんな、「安全・定時運航」という同じ大きなゴールがあるからこそ、一丸となって頑張れるんじゃないかなと思います。飛行機を安全に時間通りに飛ばせたときは、達成感がすごくあります。
ののか:定時運航は地上スタッフさん一人ひとりと、そのチームワークによって支えられていたんですね。何だかとってもドラマチックだ。
空美:本当にそうですね。客室乗務員もカッコいいけど、同じくらい地上スタッフさんにも憧れちゃうなぁ。
まとめ「安全な定時運航は、地上スタッフさんのチームワークに支えられていた」
当たり前のように思っていた定時運航ですが、地上スタッフさんの膨大な知識とハードな業務、そしてチームワークに支えられていたようです。
そんなドラマを聞くと、飛行機に乗るたびにいちいちセンチメンタルになってしまいそうですし、土壇場で保安検査場に滑り込んだ過去の私を殴ってやりたい気分になります。
ののか:空美ちゃん、私は今度から絶対に保安検査場を出発時刻の15分前に通過することをここに誓います。
空美:ののかさん、すごい! どんどん意欲的になっていきますね! この調子でまた飛行機の勉強をしに来ましょう!
ののか:うん、行こう行こう! 飛行機マスターになるぞ~!!!
空美ちゃんとの飛行機旅はまだまだ続く。
書いたひと:佐々木ののか
1990年生まれ、北海道音更町出身。高校までを十勝で過ごし、大学進学を機に上京。1年間のフランス留学を経て、現在は東京を拠点にライターとして活動中。2カ月に1度は帰省するほどの地元好きで無類のお酒好き。帯広のソウルフード「インデアンカレー」はシーフード派。
Twitter:@sasakinonoka