Yorimichi Airdo旅のよりみちをお手伝い

一生に一度はやってみたい「雪中キャンプ」の夢を北海道・ニセコで実現してきた


シン……シン……


グツ……グツ……


ズズーッ


うまっ……!


というわけでYorimichi AIRDOをご覧の皆さんこんにちは。多少知恵をつけ始めた原始人ことヨッピーです。

本日は雪中キャンプをしに、北海道のニセコに来ております。

改めてこの雪景色を見よ。視線の先にはスキー場の明かりが見える。

「人生で一度はやってみたいもの」って、「わんこそばを食べる」とか「スカイダイビングをする」とか人によっていろいろあると思うんですけど、この「雪中キャンプ」もやってみたい人が多いのではないでしょうか。

かく言う僕もキャンプが好きで、夏場はちょくちょくやるのですが、雪中キャンプとなるとグンとハードルが上がるので、今までなかなか実施する機会に恵まれなかったのです。

そこで今回は人生のスタンプラリーにおける「雪中キャンプ」の項目を埋めるべく、ニセコまで突撃して参りましたのでレポートさせていただきます!

東京から、一面銀世界の北海道へ!

さあ、まずは羽田空港にやってきました。

ここから新千歳空港まではAIRDOの飛行機、空港から小樽を経由して倶知安(くっちゃん)まで電車を乗り継ぎ、倶知安からはレンタカーでニセコに向かいます。

ちなみに空港でベンチに座っていたら、隣のカップルが思いっきり別れ話をしていました。


男性「だからさ、もう無理って言ってるじゃん!しつこいって!」

女性「やだ!わたし、たっくん(仮名)と離れたくないもん!絶対別れないから!」

男性「そんなこと言ってもさ、遠距離とか無理だし!」

女性「無理じゃないもん!わたし、会いに行くから!」


なるほどなるほど。彼がどこか遠くの街に引っ越すことになって、それで別れ話になってるんだな、でも愛に距離なんて関係ないし、離れた土地から彼女の愛を受け止めてあげるっていう選択肢だってあるはずだろ。がんばれ彼女! たっくんにもきっと、愛は伝わるぞ!

そんな気持ちで彼女側を応援してたんですけど、彼氏が「そんなに好きなくせに、なんで浮気したんだよ!いくらなんでも4股はやりすぎだろ!」みたいなことを言い出したので完全に真顔になりました。空港にはドラマがあるナァ!

さて、北海道に到着し空港から電車を乗り継いでニセコに向かううちに、だんだん雪がえらいことになってきた。なにここ。シベリア?

今回の企画にあたって、北海道出身の友人に「今度ニセコに行ってくる」と伝えたら「防寒はしっかりしろよ!冬の北海道なめんな!」みたいなことを言われたのですが、友人のアドバイスを完全に無視してジーパンにスニーカーという「普段着で来ました」って感じの服装です。近所の牛丼屋に行く時と服装が変わらん。果たして本当に僕は大丈夫なのでしょうか。

「ほとんど手作り」のバイタリティーあふれるキャンプ場

倶知安駅からレンタカーを走らせ、いよいよ本日の目的地である「ニセコサヒナキャンプ場」にやって参りました!

家を出てから7時間! 遠かった~!

こちらはキャンプ場のオーナー、松橋さん。

もともとはサラリーマンだったけど、「ニセコの大自然を生かしたビジネスをして、人を集めたい」と一念発起して脱サラ。ほとんど手作りでこのキャンプ場を立ち上げたらしい。えー! 手作りって! なにそれ! キャンプ場はビーズアクセサリーじゃねえんだぞ!

ヨッピー「すげぇ!薪ストーブもある!」

松橋さん「いいでしょ。オーブンとして使えるから料理もできますよ!」

こちらの「センターハウス」はキャンプ場に集まったお客さん同士が交流できる場。ここで仲良くなって『また来年ここで飲みましょうね!』と約束する人たちも多いんだとか。

サヒナキャンプ場は松橋さん自身がブルドーザーを動かして整地したり、水道管を通す穴を掘ったりして作り上げた場所だそうです。ちょっと完成度高すぎませんかこれ。センターハウスも、もともとは廃校になった学校に「解体を手伝うから要らなくなった資材を分けてくれ」と交渉して譲り受けた資材を使い、松橋さん自身がトンカチを狂ったようにブンまわしながら建ててしまったらしい。なんたるバイタリティー。

当初、地元の人たちは「絶対うまくいかないからやめとけ!」と言って誰も相手にしてくれなかったらしい。それが今では、ハイシーズンの夏の間で18,000人以上の利用客を集めたり、『BE-PAL』というアウトドア雑誌で「ほんとうに気持ちいいキャンプ場」の日本一に選ばれたりと、全国から人が集まる大人気のキャンプ場に。

ヨッピー「最初に相手してくれなかった人たちにはザマーミロ!って感じですね!」

松橋さん「ハッハッハ!その通り!」

いよいよ憧れの雪中キャンプ開始!

北海道は日が落ちるのが早い、ということで、日が暮れない内にテントの設営に入ります。

写真左が、今回お手伝いいただいた郷右近(ごううこん)さん。“雪中キャンプのプロ”ということで、ほぼ手ぶらでやって来た僕にいろいろ貸してくれたり、雪中キャンプのコツを教えてくれたりしました。


郷右近さん「まずはテントを組み立てて……の前に、そのスニーカーで大丈夫ですかね……?」

ヨッピー「僕もよく分からないんですけど大丈夫じゃないですかね。たぶん。知らないけど」



ヨッピーすいません、全然大丈夫じゃなかったです

郷右近さん「そりゃそうですよ」


ニセコの雪は柔らかくふわふわと軽いパウダースノーで世界的にも有名なくらいなので、膝あたりまであっさり沈む!

ということで、雪の上でもサクサク歩ける「かんじき」をお借りしました。

これ、あるのと無いのとで全然違ってビビる。歩きやすーい!

郷右近さん「雪中キャンプのときは、アウトドア用のスノーブーツを履くと便利ですよ!ズボンもジーパンより防水加工されているものの方が良いですね!」

そんなこんなでテントの設営が完了!

他にも底冷えを防ぐエアマットや寝袋、照明、テント内で使えるストーブなどをお借りしました。やったー! フル装備や! 段ボール2枚渡されて「あとはこれでなんとかしろ」って言われたらどうしようかと思った!

設営完了時に撮り忘れていたのですが、テント内のレイアウトはこんな感じです。

テント内でストーブを使用する時は一酸化炭素中毒に注意!

「ストーブ最高ォォォオオオオオオオ!!!沖縄かーーーーーーーー!沖縄かここはーーーーー!最高に暖かいわァァァアァアアアアアアアア!!!!」みたいに調子に乗ってガンガンたいてると真夜中にお迎えが来てどこぞに旅立ってしまうかもしれません。必ず換気をしましょう。警報機なんかもあるそうで、郷右近さんがストーブと一緒に貸してくれました。

ヨッピー「今回、僕は完全にナメてて、『寝起きで牛丼屋に行くのかな?』っていうくらいにほぼ手ぶらの普段着でやって来たわけですが、読者が同じ過ちを繰り返さないよう、冬キャンプで気を付けることを教えてください!」

郷右近さん「冬場のキャンプは危険もあるので、ここみたいにちゃんと営業している有人のキャンプ場でやるべきですね。装備もケチっちゃダメです。夏キャンプなら安物のテントと寝袋でもなんとかなりますが、冬は寒冷地仕様のちゃんとした道具を使わないと、寒くて寒くて一晩なんてとても過ごせないと思います」

ヨッピー「ちなみに、今回お借りした道具を、全部買ってそろえたらいくらくらいになりますかね?」

郷右近さん「うーん、テントが15万円で寝袋が5万円で……合計すると30万円くらいですかね?」

ヨッピー「完全に貴族の遊びやんけ」

郷右近さん「ただ、一回道具をそろえてしまえばそのあとのコスパは良いですよ。キャンプ場の使用料なんてどこも安いですし、キャンプ道具は一生モノも多いですから」

ヨッピー「なるほどな~~~!でも凝りはじめるとアレもコレも欲しくなって際限なさそう」

郷右近さん「そうですね。それがキャンプ沼です」

キャンプ沼……テント、シュラフ、ランタン、ストーブ、マット、テーブル、イス、BBQコンロ、ダッチオーブン、ハンモック、調理用品などなど、アウトドアグッズは用途別にそろえるとマジで際限なく広がるので、ハマると抜け出せない沼に例えられる。ちなみに筆者の友人はこの沼に思いっきりハマっており、レンタルBOXまで借りてそこにインドア派の奥さんに内緒で買ったアウトドアグッズを死ぬほど詰め込んでいる。バレるとぶん殴られると思う。

キャンプの醍醐味「キャンプ飯」を堪能!

設営を終えたころにはそろそろ日が暮れてきたので、「キャンプ場ならではのメシを食わせてやる!」という松橋さんと郷右近さんのご好意に甘えて、僕もセンターハウスで一緒に食べさせていただくことに。

ニセコのおいしい野菜と、これまたニセコのうまい豚肉を煮込んだポトフ。

牡蠣とオイルサーディンにオリーブオイルとパン粉をまぶしてオーブンで焼いたやつ。

それぞれこの薪ストーブで焼き上げます。カッケェ!

まあ当たり前にうまいよね。

おかしいな……。キャンプ場で食べるのって、焼きすぎて焦げたスーパーの安い肉とか、水分調節を間違えて妙にシャバシャバになったカレーとかのはずなのに……。こんなうまいものを食べるキャンプで本当にいいのだろうか……!

ちなみに飲み物はこうやって外に出しておけばキンキンに冷える。

というかこの日の気温は氷点下10℃なので、様子を見ながら冷やさないと完全に凍って飲めなくなる

極寒の屋外とは打って変わって、薪ストーブ完備のセンターハウスの中は暖かい。雪中キャンプ初心者にはありがたすぎる施設。


ヨッピー「なんか全体的にあれですね、冬キャンプって、余裕のある大人の遊びって感じなんですね。もっとこう、サバイバル!ってのを想像してました。『寝るなーー!寝ると死ぬぞーーー!』とか言いながら相棒のほっぺたをばっしばしぶん殴るやつ」

松橋さん「いやもちろんね、キャンプって人それぞれやり方があるからさ。必要最低限の道具だけでやるワイルドなキャンプもいいと思うんだけど、僕はこういうのが好きなんだよ。地元のうまい野菜を使ったうまい料理を食べてね。それでお酒を飲むっていう。ニセコの野菜はうまいよ~!」

ヨッピー「ええ、知ってますよ。今食べてるんで

なんでも、サヒナキャンプ場は豪華寝台列車の「トランスイート 四季島」の立ち寄り地にもなったこともあり、乗客に地元の農産物を中心とした特産品を振る舞ったらしい。


ヨッピー「ちなみに、冬場ってどういうお客さんが多いんですか?」

松橋さん「スキー、スノボのお客さんとか、雪山登山する人とか。スキー板をかついで山に登って、そのままスキーで降りてくる人なんかもいるよ」

ヨッピー「へぇ~~。なんかもうアウトドアの達人って感じの人が多いんだな〜」

松橋さん「そうだね。夏キャンプと違って冬は少しハードルが高いかも。まずは普通のキャンプで楽しさを知って、ちゃんと装備を整えてから冬に挑戦するのがいいかもね。うちはバンガローもあるから、冬のキャンプの雰囲気だけ知りたい人はまずそこに泊まってみるといいよ!」

ちなみに積雪時以外のサヒナキャンプ場はこんな感じ。

夏は避暑目的やトレッキング、バイクツーリングのついでに利用する人が多いらしい。春夏用のキャンプ道具は、一式レンタルもしているので手ぶらでも楽しめます。

ヨッピー「オーナーは『次はキャンプ場に何作ろうかな~』とか考えてるんですか?」

松橋さん「考えてるよ!でも何がいいんだろうね~」

ヨッピー「あの、差し出がましい提案ですけど、ここにサウナ作ったら絶対流行ると思います」

松橋さん「サウナ!?確かにお客さんの中にも同じことを言う人がいるんだけど、なんでサウナなの?」

ヨッピー「いやね、まずサウナって今全国的に流行ってますし、サウナが好きな人の中には『本場のサウナ入りたい!』って言ってわざわざフィンランドまで行くような人がいるんですよ」

松橋さん「へ~!フィンランドまで!」

ヨッピー「フィンランドのサウナって、サウナで汗をかいたあとに雪にそのまま飛び込んで体を冷やすんですけど、ニセコなら同じことができるじゃないですか。パウダースノーが死ぬほど降ってますし。ここって、湧き水もありますよねたぶん」

松橋さん「あるある!敷地の中に綺麗な小川が流れてるよ」

ヨッピー「じゃあ、その小川の水を水風呂に利用できますし、冬場はサウナに入って雪で体を冷やすことができる環境にしたら、キャンプ場の目玉になると思います!特に冬場のお客さんに喜ばれると思いますよ!」

松橋さん「なるほど……じゃあサウナ作ってみるかな……」

ヨッピー「はい、ぜひ!失敗しても責任は取れませんけど

そんな風にあーだこーだ話すこと2時間。

いい時間になってきたので近所の温泉に入って、

テントの中でNintendo Switchで遊んだりしました。ちょっと優雅すぎる。

そして小腹が減ってきた頃に、持参したインスタントラーメンと卵をフライパンに投入。

まあめちゃめちゃうまいよね。ラーメン食べたあとに吐く息が真っ白で、それがまた気持ち良かったりする。

あいにく、この日は天候に恵まれず星空は見えなかったんだけど、晴れていればめちゃめちゃ綺麗な星空が見えるらしい。

そんなわけでNintendo Switchをやりながらストーブであぶったスルメをかじりつつ、沸かしたお湯で焼酎のお湯割りを飲んだりしている内に盛大に酔っ払い、気づいたら爆睡! ストーブのおかげでテント内は暖かいし、お借りした寝袋はフカッフカだし「パラ……パラ……」ってテントに降る雪の音が心地良いしで完全に安眠しました。寒さにガタガタ震えて寝るのも面白いかと思ってたのに! 東京の河川敷で野宿した時のほうが800倍寒かったわ!

「キャンプの楽しさは秘密基地作りに似てる」

そして翌朝。

美しすぎる。

朝ごはんはテントでベーコンと卵を焼いて、

トーストにのせて暖かい紅茶と一緒に食べる。

これがまたシンプルなのにうまい。

「これぞ、フィンランド流!」って感じですよね。フィンランド行ったことないからよく分かんないけど。

あとは異常に人なつっこいキャンプ場の看板犬「パル」と遊んだりしました。一切じっとしてないので写真が全部ブレてる。

あっという間にチェックアウトの時間。郷右近さんが後片付けを手伝ってくれました。


郷右近さん「初めての雪中キャンプはどうでした?」

ヨッピー「いやー、いいですね。テントの屋根に雪がパラパラ降ってくる音とかがまた良くて……。正直、来るまではめちゃくちゃ大変で死ぬほど寒いんだろうなと思ってたんですが、郷右近さんに貸していただいた装備のおかげで『ザ・優雅』って感じでした!郷右近さんもキャンプが好きでここで働き始めたんですか?」

郷右近さん「え?僕ここの従業員ではないですよ」

ヨッピー「え!?そうなの!?」

郷右近さん「はい。僕も客です

ヨッピー「えーーっ!それなのに僕の手伝いさせられてたの!?」

郷右近さん「社長とは長い付き合いですし、僕も楽しいから大丈夫ですよ(笑)」

ヨッピー「うわー!なんかすいません!」

郷右近さん「ちなみにお貸ししたテントはもう手に入らないヴィンテージ品なので、破れたりしたらどうしようかと思いました」

ヨッピー「Oh……!調子こいてストーブで焦がさなくて良かったわ……!」

そんなわけで社長は所用で出かけていたので郷右近さんとスタッフの方にお礼を言ってお別れ。なるほど、雪中キャンプ、確かに楽しい。寒いし専用の道具はいるし、不便なことも多いけど、キャンプ好きは一生に一度くらいはやっておいた方が良い! それくらい楽しい!!

郷右近さんが「キャンプの楽しさは秘密基地作りに似てる」って言ってたけど、それも分かる気がするなぁ。どういう装備で、どういうレイアウトにして何して過ごすか、って考えるのがそもそも楽しいっていう。道具が好きとか家具が好きっていう人はハマる可能性が高そう。一通り装備をそろえてしまえば旅館とかに泊まるより安上がりだし。次は自分で道具をそろえて、一人の力でやってみたい。

帰りは小樽で海鮮丼を食べたり(最高にうまい)、

札幌のサウナに入ったりしました。

寒い日に入るサウナはやっぱり最高! いやー、また来たいなー! 北海道!

雪中キャンプの心得まとめ

最後に今回の企画についてざっくりまとめー!

  • 雪中キャンプは装備が大事。寒さ対策はもちろん、テント内での一酸化炭素中毒なんかも怖いのでちゃんと入念に準備してからチャレンジしよう!
  • いきなり雪山に入るのは雪崩などのリスクもあって危険。管理された区域でやるべし
  • 雪中キャンプの初期費用は確かに割高! ただし一生モノとして使うのであればコスパ良し
  • 雪に囲まれて飲む焼酎のお湯割りは最高!
  • 寒い中野外ですするインスタントラーメンも最高!
  • サウナ、マジで作ってほしい!

以上~~!

皆さんも機会があれば一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか!

取材協力

ニセコサヒナキャンプ場
北海道磯谷郡蘭越町字湯里224-19
0136-58-3465
チェックイン:午後1時〜、チェックアウト:〜午前11時
キャンプ場利用料金(1泊2日)は大人1人800円〜




書いた人:ヨッピー

大阪出身。「オモコロ」「トゥギャッチ」「ジモコロ」「SPOT(スポット)」など、さまざまなWebメディアで活躍中の無職。「Webでウケること」の第一人者として、たまに偉そうなことを言ったりもする。
Twitter:@
ヨッピーがブチ切れまくるブログ

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編集:はてな編集部