ライターのカツセマサヒコです。
みなさん、「ジュエリーアイス」って、ご存知ですか?
コレですッ!
宝石のように輝く氷。北海道にある十勝川が結氷し、日中の暖気や増水、荒波にもまれた結果、さまざまな形に変化しながら岸まで打ち上げられたものだそうです。
写真提供: @Hisashi Urashima
「ジュエリーアイス」と命名したのは、十勝の風景写真を撮っている写真愛好家、浦島 久(うらしま・ひさし)さん。太陽に照らされた氷塊が、まさに宝石のようだったことから名付けたのだとか。
今回は、そんなジュエリーアイスを見るために……
北海道・帯広にやって来ましたー!
AIRDOの江藤さん(右)と一緒です。
「寒いところはイヤ」と言ったのに、連れて来られたからですよ。
外気温、マイナス2度。
今日はまだ暖かい方じゃないですか。よかったよかった。
どうなってるんだ北海道民の感覚は。
夜になるとさらに温度が下がる帯広市。「鼻毛が凍ったら危険」という謎のルールもあるらしい。
カツセさん、「ジュエリーアイス」は、朝日を浴びて初めて輝くんですよ。
さすがに下調べしましたよ。そのためにわざわざ朝方に宿を出発するんでしょ?
さすが。そのとおりでございます。
いったい何時起きなんですか?
4時半。
北海道の4時半とか、極寒確定じゃん……。
そうですね。マイナス20度です。
東京帰ろう?
「仕事ですから」の一言で片付けられ、翌日に備えて、早めに夕飯を取ることに。
では、あした4時半に集合で。
もしも起きてこなかったら、先に行ってください。
大丈夫。どんな手を使ってでも起こしにいきますから。
目が笑ってない。
そして夜は更け、約束の4時半。
かろうじて集合場所に到着しました。
おはようございます。まさか本当に寝坊してくるとは思わなかったですよ。
こっちも本当に部屋まで起こしに来るとは思わなかったです。
仕事で来てることもうちょっと自覚してもらえます?
特別に手配されたツアーバスに乗って、十勝川河口を目指す。バッタを40匹食べたような顔をしているのは、眠気と寒さへの恐怖のせい。
ちなみに「ジュエリーアイス」って、天候に左右されず100%見られるものなんですか?
いやー、これがですね、雪が降ってしまうと掘り起こさなければいけませんし、曇り空だとあまりキレイに撮れないらしいです。
つまり、晴れなきゃダメってこと? 結構条件キビしいっすね??
晴れると信じて行くしかないですね。ロケ日に余裕ないですし。
結果
めちゃくちゃ曇り。
あはははは、予想外ー(笑)
ぜったい予想できたでしょ! どうするんすかこれ!?
「どっちのジュエリーアイスがスゴいでショー」開幕
「寒い」というより「痛い」。波も高いし、ちょっとした終末感が漂う。
雪を払って見つけたジュエリーアイスも、キレイではあるが、朝日が出ないとそこまで輝かない。
完全にロケ失敗の雰囲気が出てきたため、マイナス16度の中、急きょ作戦会議が開かれた。
そしてひらめく、江藤さん。
わかりました、こうしましょう。
はい、なんでしょうか。
なんでいきなりポップ体なの。
テンション的にこのくらい振り切らないと、記事としてマズいからです。
ルールも非常にかんたん。これならマイナス16度の脳でも覚えられますね。
本当にありがたいです。
「それではさっそくまいりましょう! 第一回戦は、王道! 『キレイなジュエリーアイスを探せ!』です!」
急にテンション上げて来たな。
絶対にすぐ終わらせたい。
第一回戦
やると決まったら本気でやるしかない。30歳を過ぎた男二人の、負けられない戦いが始まった。
ヒートテックを重ね着したうえにカイロをふたつ装備しても寒気が突きぬけてくる極限世界。
そんな環境で「キレイな氷」を探すことに何の意味があったのだろうか。
疑問に思いながら散策すること5分。いよいよお披露目タイムである。
さあ!準備はいいですかカツセさん!?
いつまで持つんだそのテンションは。
「せーの」で出して、キレイなほうが勝ちですよ!
わかってますよ。正々堂々いきましょう。
「せーのっ……!」
「ハイッ!!!!!」
え、透明度すごくない……? そんなキレイなやつどこで拾った……??
カツセさんの、スーパーの製氷機から持ってきたやつでしょ。
江藤、WIN!!!!!
わーっはっはー!! 圧勝ー!!! こちとら何年航空会社やってると思ってんじゃーい!!!
30過ぎたおっさんとは思えない喜びっぷりだな。
とはいえ、なんとなく悔しい。髪の毛も凍るマイナス16度の世界でも、「負けん気」というものは存在することを知る。
第二回戦
わかりました。次はこうしません? 「大きいジュエリーアイスを持ってきたほうが勝ち」。
はいはい、いいですよ。質で負けた男はすぐに大きさで勝負しようとしますからね。
いちいち腹立つ。
ということで、二回戦開始。
雪で埋もれてしまってはいるが、ちょっと探せばたくさんのジュエリーアイスを見つけることができる。
しかし、大きなものやとびきりキレイなものとなると、なかなか見つけるのは難しい。
カツセさん、そろそろいいですか。
はい、いいですよ。今度は負けませんから。
「よいしょっと」
でかくない?
カツセ、WIN!!!!!!!!!!!!!!
ハーッハッッハー!!!! 見たか!!!! これがライターの底力じゃボケ!!!!!!
完全に力仕事じゃないですか。
本気で腰が痛い。
第三回戦
さあ、ここまで一勝一敗で来まして、とうとう最終決戦です!
なんだか、ひたすら地味な画が続いててびっくりするね?
背景が全部白いから、いくら読んでも展開が進んでいないように感じるんだよね。
どこまでもつらい企画だ。
ロケ開始から2時間。疲労も限界にきている。
ということで、最終戦のテーマを発表します!
はい!!
最後のテーマは、「スタイリッシュ」!!!!!
スタイリッシュ!!!!!
スタイリッシュな「ジュエリーアイス」を見つけた人が勝ちです!!!!!!
絶対に負けない!!!!!!!!!!!
いきますよ!! ヨーイドン!!!!!
スタイリーッシュ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
投げやりな進行。
ロケ開始から2時間たてば、それも仕方ないことである。
身体は冷え切り、眠気もピークを迎えた頃
とうとう勝敗を決するときが来た。
さあ江藤さん、見せてくださいよ、あなたの「スタイリッシュ」ってやつをね!
絶対に負けません。ここだけは負けませんよ。こんな企画のために僕に全力を出させてしまったんですからね。
(いま自分で「こんな企画」って言ったな。)
いくぞ!!!!!
「This is my "Stylish"!!!!!!!」
(これがオレのスタイリッシュだ!!!!!!!)
どうですか! この直角具合!! 自然がつくったとは思えない人工的なデザイン!! これこそがスタイリッシュですよ!! This is stylish!!!
ふふ……ふふふふ……! 甘い!甘すぎますよ、江藤さん! ただ角が尖った氷なんて、そこらへんに落ちている雪の塊と一緒です!!!!!
な、なに!?
スタイリッシュとは、もっと前衛的でなければならないんですよ!!
(ぜ、全身ヒートテックの男が言うセリフか!?)
「これが……」
「おれのスタイリッシュだー!!!!!!!!!!!」
「ジュ、ジュエリーアイスが、仮面のようになっているー!!!!!??」
ハッハッハッハッハ! 造形美! 造形美とはこのことですよ!! ただ直角なだけなんて、そんなものはガラクタに過ぎない!!! スタイリッシュとは、この造形美のことを言うのです!!!!!!!!
そ、そんな……。おれのスタイリッシュが、完全に負けた……? おれが……こんなやつに……!?
カツセ、WIN!!!!!!!!!!!!!
おわりに
以上、帯広・十勝川河口から「ジュエリーアイス」の様子をお届けしました。
ご覧いただいてわかるとおり、多くの自然現象と同様に、「ジュエリーアイス」も晴れた日に見るのが一番キレイですが、曇りの日でも、少し探せば本当に宝石のような氷に出会えることもあるようです。(それでも、晴れた日であれば、オーロラやウユニ塩湖ばりに美しい光景が見られるとのことなので、やはり晴れが一番ではある!)
ぜひ遊びに行ってみてくださいね。3月初旬ごろまでが見ごろとのことです。
(詳細はとよころ観光ガイドに情報を更新しています。)
ちなみに僕が散々「スタイリッシュ」と騒いだジュエリーアイスは、カメラの三脚の跡が残っていたただの氷という説が濃厚だそうです。フェイクがあるから気を付けよう。
それでは!!!!
おまけ:マイナス20度対策の防寒具リスト(実体験版)
カツセ(写真右)装備一覧
【頭・首回り】
・マフラー
・鼻まで隠れるネックウォーマー(フードつき)
・耳当て
※アウターのフードが分厚かったため、ニット帽子はナシでいけました。
【上半身】
・長袖ヒートテック2枚重ね(ユニクロ)
・フリースセーター(ユニクロ)
・ウルトラライトダウン(ユニクロ)
・スノボウェア
・貼るカイロを背中とお腹に
※上半身は寒さを感じることが皆無でした。
【下半身】
・ヒートテックタイツ2枚重ね(ユニクロ)
・スウェット
・貼るカイロをひざに1枚ずつ
※なぜスノボウェアを穿かなかったのか謎でした。寒かったです。
【足元】
・滑り止めパーツを付けたレインブーツ
※「ジュエリーアイス」を見に行くときは、ひざ下まで覆うスノーブーツをレンタルしました。海辺なので、あったほうが吉。
以上です!
寒いと感じたらどんどんテンションが下がるので、防寒はしっかりして遊んできてくださいねっ!
※本記事内容は2017年2月15日時点での情報になります。
(写真:和崎 愛)
書いた人:カツセマサヒコ
下北沢のWeb系編集プロダクション 株式会社プレスラボのライター・編集として、書く・話す・企画することを中心に活動中。 趣味はツイッターとスマホの充電。
Twitter:@katsuse_m
エラく不機嫌そうですね?