はじめまして!大阪在住の温泉ソムリエぐっちと申します。
この度、AIRDOよりご依頼を頂き、北海道の温泉を紹介させて頂くことになりました。
温泉は地球からの恵みであり、自然そのもの。
昨今色々な理由でお湯を循環・消毒する施設が増えていますが、やはりそのままの生きた温泉に浸かってこそ温泉本来の真髄が味わえると思っていますので、私は温泉の中でも「源泉かけ流し」さらに「消毒していない温泉」に拘っております。
このような温泉は、最近徐々に少なくなってきていますが、幸いにも北海道にはまだまだ沢山あります!
ということで、ぐっちチョイスな極上の温泉だけをこっそり?ご紹介させて頂きます!
どうぞよろしくお願いします。
最初の任務は定山渓(じょうざんけい)温泉!
AIRDOは、関西からは神戸空港より新千歳空港まで飛んでいます。
いざ、乗り込み出発です。
朝食を食べずに出てきて、流石にお腹が空いてきたので、客室乗務員に「サッポロクラシック」を注文!
突っ込まれそうですが、なにせ「サッポロクラシック」は北海道限定ですからね。行く前から絶対機内で飲むぞと決めてまして・・・。
ウッマァ~!空腹に染み渡ります。
そして約2時間のフライトで新千歳空港へ到着。
新千歳空港から定山渓温泉へは直行バスが出ており、めっちゃ便利です。
今年開湯150周年の定山渓温泉、観光協会イケメンスタッフへ突撃取材!
温泉地のことはやっぱり観光協会さんに聞くのが一番!ってことで、まずは定山渓観光協会の橘さんを訪問。
ようこそいらっしゃいました!
(わおっ!めっちゃイケメンやん!ドキドキ・・・)
ぶっちゃけ定山渓温泉ってどうなんすか?最近お客さんは結構来られているんですか?
いきなり直球ですねぇ~。嬉しいことに結構お客さんは来て頂いているんです。
そうでしたか!やっぱりインバウンドの関係ですか?
実は、道内からのお客さんがほとんどで、約60%を占めているんです。そしてインバウンドが約20%。そして、それ以外のお客様が約20%となります。
へぇ~そうなんですか。え!ちょっと待ってください。ということは、北海道以外の日本のお客さんが20%ってことなんですか?!?!
そうなんですよ。実は道外では定山渓温泉ってあまり知られてなくて、お問い合わせ頂いてもジョウザンケイオンセンと言ってもらえることはまれでして・・・・。
まじっすか!確かに私の周りでも定山渓温泉に行ってきたとはあまり聞いた記憶が・・・。温泉好きな私も今回お初だったりするわけでして・・・。
ですよねぇ・・・。札幌市内にあって、中心部から車で1時間以内で来れ、自然もたっぷり満喫できて、さらに温泉もボーリングせず自噴している温泉のみで、とてもいいと思うのですが。
定山渓温泉ってポンプを使わずに自噴する温泉だけだったんですね!意外と言っては失礼ですが、驚きました。これは全国的にもとても貴重ですね。
札幌に泊まるのならちょっと足を伸ばして定山渓で泊まった方が楽しめそうですね。
さらに今年(2016年)は定山渓温泉開湯150年となる節目の年でして、様々なイベントをしてきました。11月15日までは日帰り入浴が150円で利用出来たり、詳しくは定山渓観光協会のホームページ をご覧頂くか、直接お問い合わせ頂ければと思います。
日帰り入浴が150円とは、かなり太っ腹ですね!では、私が定山渓温泉を日本中に広めますのでご安心ください!
よろしくお願いします!
ぐっちチョイスその1 「悠久の宿 白糸」でとろみがある柔らかな源泉かけ流しの湯を堪能
ということで、1件目の温泉へ。
まずは「悠久の宿 白糸 (しらいと)」さんへ。
ロビーは小粋な和風でこざっぱりしています。さらに囲炉裏がええ味出しています。
まずは若女将の吉田さんにお話を伺いました。
お宿の歴史をお伺いしてよろしいでしょうか?
温泉宿としましては、1968年創業となりまして、45年以上の歴史になります。
それにしては新しいような・・・。
もちろんリニューアルしておりまして、2004年より現在の状態でございます。
そうなんですね。また、温泉は源泉かけ流しとお聞きしているのですが。
さようでございます。一度タンクに貯めてはいますが、そこから手を加えず常にかけ流しにてご提供させて頂いております。また、毎日湯を抜いて清掃しております。どうぞお湯を楽しんできて下さいませ。
ということで、お言葉に甘えて浴室へ。
こちらは内湯と露天風呂が別々になっています。
なので、まずは内湯から。
長方形の大きめの浴槽と扇型の小さめの浴槽の2つ。香りはほとんどしません。湯の色はほぼ透明です。
しかし、タイルは温泉の成分により変色しています。歴史を感じさせられます。
では、いざ入湯!まずは大きめの浴槽より。
気持ちいい~!
湯はとろみがあり、なかなかのツルスベ感を感じられます。とても柔らかいです。
張られた湯は無臭ですが湯口(湯の注ぎ口)を嗅いで見ると、おお!まさかのモール臭がほのかにします!
※モール臭とは、藁のような香りで、植物が地底で熟成された石油になる前の香り。
小さい扇型の浴槽へ。
こちらは少々熱めになっていました。
さらに浴槽が小さい分、こちらのほうが湯の鮮度が際立っているようにも思えました。
やっぱ温泉は源泉かけ流しに限りますわ!
ということで、内湯からあがり、一旦服を着替えて露天風呂へ移動。
ええ感じ~!
露天風呂というよりも、庭付き温泉って感じでしょうか。
しかし、大きく開口が取られているので、外気を感じながらの湯浴み(ゆあみ)を楽しめます。
また、これなら雨でもノープロブレム。
では、いただきま~す!
ハッハッハッハ!こりゃ最高!
定山渓温泉エリア一帯はほぼ同じ湯で、泉質は「ナトリウム-塩化物泉」。
要は塩がメインの成分となります。
なので、なめてみるとほんのりとしょっぱい!
そして、この泉質の特徴は、とにかく温まりますので、冷え性の方には超おすすめです。
また、お湯に拘る方にはおすすめのお宿だと思います。
若女将、ありがとうございました。
ぐっちチョイスその2 「ホテル山水」はホームページが無くても本当の口コミだけで大人気!湯も部屋も食事も大満足!
続いて2件目の温泉は「ホテル山水」さんへ。
外観の色気はかなり少なめな感じですが、もちろん源泉かけ流しです。
では中へ。
ご覧のとおり、とても奇麗にされています。このあたりは2006年頃に改装されたようです。
チェックインして、いざお部屋へ。
最上階の端っこのお部屋。
おおおーーー!素敵っ!
私ひとりでは、もったいないっす。
どうも「ホテル山水」さんで一番ええ部屋みたいです。
さらに
わおっ!!!
お部屋に露天風呂が!
感無量っ。
嬉しいことに、この湯も完全なる源泉かけ流し!
ということで、まずは大浴場へ。
内湯から露天風呂へと繋がっています。
内湯は浴槽が2つ。湯はうぐいす色に色づいています。
鉄分が少し含まれているためだと思われます。
はぁ~、え~湯~ですわ、ほんまに!
泉質は「ナトリウム-塩化物泉」ですが、塩味はさほど強くなく、とろみを感じるまろやかなお湯です。
では、露天風呂へ。
なかなかの景色が広がっています!この露天風呂、実はこの宿のご主人の手作りなんですって!私も結構DIY系ですが、流石にここまではしたことないですね。
さらに驚くことなかれ、ここ、混浴なんです!
混浴では皆様、特に礼節を持って紳士淑女でお願い致します。
このトンネルが女性側の露天風呂に繋がっていて、女性がトンネルをくぐってこちらへ来るようです。男性陣、このトンネルの前で待ち構えるようなことは決してなさらないように。
※混浴時間は、19時より翌日9時までの宿泊者専用時間帯となり、それ以外の時間は扉で施錠されています。
ひんやりした空気の中での湯浴みは最高でした!
そして、残念ながら?私が露天風呂滞在中に女性は現れませんでした。
夕食はお部屋で頂きます。いわゆる上げ膳据え膳で、贅沢な気分を味わえます。
舟盛りっ!毛蟹っ!そして色々っ!
いただきますっ!
で、まずはお肉を・・・
「びらとり和牛」という初耳のお肉。豆乳仕立てのお鍋でしゃぶしゃぶと。
なんじゃこりゃ!ウマすぎるやんけっ!!!!!!!
え~、表現が乏しくて申し訳ございませんが、死ぬほど旨かったっす。
その後、もくもくと、うめぇうめぇと独り言を連発しつつ、気が付けば約30分で完食。
早っ。
ほんまにどれもこれも美味で、幸せでした。
食後はロビーでご主人に色々とお話をお聞きさせて頂きました。
ご主人の二宮さんです。
話が弾みすぎまして30分程度の予定が気付けば2時間!
毎日清掃して湯を溜めるにはちょうどいい浴槽の大きさってのがあるんですよ、ハッハッハッハ!
ほぉ~
うちは自家源泉なんですよね。定山渓では温泉は川から湧いていて、自然に湧いているものしか使用できなくて、ボーリング禁止なんですよね、ハッハッハッハ!
そうなんですか!これだけ大きな温泉地で自噴の温泉だけで賄っているとは凄いですね!
うちの源泉は毎分100リットル湧き出していまして、この湯量に見合う浴槽の大きさにしているんですよ。ハッハッハッハ!
無闇矢鱈と広い露天風呂にしないわけですね。ご主人の温泉愛をとても感じます。昔は広い露天風呂に喜んでいましたが、最近はやはりお湯そのものを楽しむことに気づきました。
お客様に喜んで頂くことをず~っと考えて温泉宿をやってきまして、改装に改装を重ねてきました。料理も満足していただくためにこだわり、私も調理場に立ったりもするんですよね、ハッハッハッハ!
ほぉ~
笑いの絶えない時間が過ぎて行きました。
ご主人の温泉に対する熱い思いももちろんのことながら、宿として皆さんが快適に過ごすために本当に色々考えて、それを具現化されていることがよくわかりました。
「ホテル山水」は今時珍しく宿のホームページがありません。さらに予約サイトにも登録されていません。そして驚くことに休日よりも平日のほうが予約が多いそうです。きっと本当のクチコミでお客さんが来られ、さらにリピーターが多いのだと思われます。凄い!
お話を終えて、貸切湯へ。
浴槽はヒバ!ヒバは水に強く高級材なんです!
ひのきが一番と思っている方が多いと思いますが、ヒバや高野槇(こうやまき)などは水に強く、浴槽にとても適しているようです。
では、ご入湯~!
大浴場に比べ浴槽が小さいからでしょう、お湯の鮮度が抜群です!
こちらへ泊まりましたら、この貸切湯も必ず入りましょう。
次はお部屋の露天風呂です。
渾身のスマイルで!
おひとり様サイズの陶器風呂もいいです。
温泉の量も水の量も自分で調整可能なのも嬉しいです。もちろん私は温泉のみで、湯量だけで温度調整して入浴させて頂きました。
そして、浴槽が小さいので貸切湯よりさらに鮮度バツグンゆえ、ほぼ透明のお湯でした。お湯の鮮度に拘る方は、この露天風呂付きのお部屋、間違いなくおすすめです。
「ホテル山水」にはホンモノの温泉、丁寧に造られた料理、そしてとても快適に過ごせるお部屋がありました。
またいつか、泊まりに行きたいですね。
ぐっちチョイスその3 「豊平峡(ほうへいきょう)温泉」の名物露天風呂と内湯で温泉アートを楽しもう
今回の最後の温泉は「豊平峡(ほうへいきょう)温泉 」。
かなり広い日帰り温泉施設ですが、全ての浴槽をかけ流しで提供されているそうです。
まずは、副支配人の馬場さんにお話をお伺いしました。
またもやイケメン!!!なんかセレクトショップの店員と見間違えそう。
(北海道の温泉には、イケメンばかりいるなぁ・・・・)
それでは、温泉についてなんですが、露天風呂が大人気なようで。
有難いことにもう少しすれば紅葉がとても綺麗になり、その時期はとても多くの方々にお越し頂いております。
これだけ広い浴槽ですが、全て源泉かけ流しで提供されているのですか?
はい。そうなんですよ。泉源が2つあり、毎分630リットルの湯量がありまして。
630リットルですか!驚きの湯量ですね!広い浴槽をかけ流しで提供されても大丈夫ですね。では、清掃はどのように?
毎日夜11時頃から清掃を始め、湯が貯まるのは朝の5時頃でして・・・。
そこまでされているんですね!あっぱれ過ぎます。まさに温泉施設の鏡ですね。
ありがとうございます。
では、温泉を味わわせて頂きます。
うっひょぉ~!
見てるだけで笑けてきます!
床が温泉成分でコッテコテに!
泉質は「ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉」ながら、カルシウム分も豊富なため、温泉成分が析出されているようです。
では、全身で味見を。
気持ちよすぎっ!
これだけ成分が析出しているにも関わらず、湯が透き通っているのは湯が新鮮な証。
ほとんどの温泉は湧き出した時は無色透明なんです。湧き出して空気に触れることによって、徐々に変色していきます。
色づいた温泉も魅力的ですが、私は鮮度が高い温泉が大好きなんですよね。
では、名物の露天風呂へ。
ひろっ!そして、景色抜群!
こりゃ、人気なわけですわ。
日替わりで男女の浴室が入れ変わるそうなので、もうひとつの浴室へ。
先ほどの内湯とは作りが異なります。
さらに床はこんなことに!
こりゃ、温泉のアートですよ!天然のアート!
そしてこっちの露天風呂はと言いますと
これまた、い~ですねぇ~!
こりゃ、人気になりますわ。
どこも抜群の浴槽でしたが、色々入り比べますとその中でも特にイチオシを発見。
それが、こちらっ!
お湯が一番新鮮に感じました!
きっと露天風呂に比べ浴槽が小さいため、鮮度が際立っているのかと思われます。
そして、重曹成分(ナトリウム-炭酸水素塩泉)が豊富ゆえ、クレンジング効果が期待出来ます。さらに塩分(ナトリウム-塩化物泉)も含まれていて保湿や保温効果も期待できます。女性の皆様、ここはめっちゃ美肌の湯ですよ!
そして、「豊平峡温泉」には温泉以外の大人気な名物があるそうで。
それはカレー!
なんと、行列が出来ることもあるそうで・・・。
只今、仕込みの真っ最中。
ええ匂いを嗅いだだけでした・・・嗚呼・・・。
次回は必ず!
馬場さん、ありがとうございました!
「豊平峡温泉」は、お湯も風情もあっぱれでした。鮮度の高いお湯を楽しむなら、出来ることなら営業開始直後の一番湯を狙って行かれるのがよろしいかと思います。
ということで、ぐっちのおすすめ定山渓温泉3選、如何でしたでしょうか。
この3つの湯に入れば、きっと温泉の真髄に気付かされることでしょう。
次回をお楽しみに!
ありがとうございました。
書いた人:ぐっち
1971年生まれ大阪人の温泉ソムリエ。ある時温泉に目覚め、その後生きている温泉に拘り、書いたり、しゃべったりして活動中。ウエブサイト「源泉かけ流しどっとねっと」主宰。 生まれたまんまのお湯に入ってみ。きっとわかるから。
はじめまして。今回取材でお伺いしました。