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北海道・旭川で一人飲み! 出張や一人旅なら、地元民が通う名酒場へGO!!

北の〜酒場通りには〜、おかんを酔わせる酒がある〜♪

Yorimichi AIRDOをご覧の皆さん、こんにちは! お酒大好きライターのおかんです。「おかん」のあだ名は「場末の酒場のおかんみたいだな」というわびしい理由からいただいております。

今回は札幌市に次ぐ北海道の第二都市、旭川市へハシゴ酒をしにやってきました! 旭川のマストスポットといえば「旭山動物園」が有名ですが、行くべき場所はそれだけじゃないっ! 一人旅や出張におすすめの酒場をどどーんとご紹介します!

ガチの地元民御用達な酒場はやっぱり現地の人がよーく知っている。今回の酒場チョイスは、旭川市役所の職員さんたちが全面協力してくれました。大感謝〜!!

【1軒目】豪快な鶏の半身焼きに甘辛ダレが絡む「新子焼き」は必食「焼鳥専門ぎんねこ」

最初にやって来たのは、JR旭川駅から徒歩15分くらいの場所にある「焼鳥専門ぎんねこ」。「素通りは許しませんぞ」の看板文字が何ともユルくてかわいいんですぞ。

レトロなたたずまいの店内。2017年の11月で創業からなんと68年目を迎えた老舗です。創業当時は市内の「銀座通り」という場所で遊技場としてスタートし、1950年に現在の場所に移り、酒場としての営業を始めたんだそう。

旭川最初の1杯は北海道限定発売のビール、サッポロクラシック 富良野VINTAGE(550円)! 北海道に来たからにはやっぱりこれを飲まなきゃね〜。

お店に立っているのは、創業者のお孫さんである三代目・久保さん。前職はなんと郵便局員。別の仕事に就いていたのが「子どもの頃から慣れ親しんできたお店が他の人の手に渡るくらいなら……」と一念発起、跡を継いだんですって。

三代に渡って続いているお店だけに、家族みんなで愛してくれている常連さんも多いと教えてくれました。

そんな地元の常連客から絶大な人気を誇るのが、名物の新子焼き(1,290円)。

どーんと立派な鶏の半身を炭火でじっくり焼き上げ、継ぎ足しの秘伝ダレをたっぷり絡めています。焼き鳥って言っても、串に刺さってないんだなぁ。甘辛い香りが食欲をそそります。

ハサミで切り分けられた肉を、豪快に手づかみでかじりつく!

モモの部分は弾力のあるプリプリな食感。手羽の部分は皮目がカリッと、かむうちに甘い油がジュワー。ただ肉を焼いただけに見えますが、これは普段食べてる焼き鳥と比べて格段においしいんだが!?

というのも、新子焼きは養鶏が盛んな北海道伊達産の若鶏、それも冷凍していない生肉にこだわっているから。添加物も保存料も不使用のため、鶏の純粋なうま味が味わえるんです。

炭火の遠赤外線のおかげで肉はどの部位も柔らか。半身ペロッと食べちゃう女性ひとり客も多いとか! いやはや、これはたしかに老いも若きも女子でもペロリですわ……。

また、新子焼きと双璧をなすお店の名物がこの「鳩燗(はとかん)」。鳩型の陶器の徳利を、なんと直火にかけてお燗するワイルド酒!

本来の鳩徳利(はととっくり)は、囲炉裏の灰の中などに埋めて使うものみたいです。焼かれて色合いの変わった徳利がいい味出してるな〜。

日本酒(480円)は北海道の地酒「男山(おとこやま)」。アツアツに温めてから少しぬるくなったくらいが個人的においしいと思いました。

こちらのお店では、昔の日本酒の分類に従って日本酒を「1級」と「2級」に分けています。級別制度は品質の良し悪しには関係ないということで現在は廃止されていますが、こういったところからも老舗居酒屋の空気を感じます。


新子焼きのタレで豚肩ロースを焼いた「ちゃっぷ焼き」(480円)もウマ! ケチャップなどで味付けしたいわゆる「ポークチャップ」という料理を想像していましたが、完全に別モノです。ご飯にのせた「ちゃっぷ丼」もあります。

小さなお店なので、お客さんが増えてきたら空間を譲り合いながら肩を寄せあってお酒を酌み交わすんですって。北国のあったかエピソード、次回は体験してみたい!

ちなみにお店は「ふらりーと」という飲み屋街のすぐ入口にあります。

撮影日は定休日のお店が多かったんですが、普段はにぎやかな飲み屋が軒を連ねるアツいエリア。「ふらりーと」だけに絞ってハシゴ酒するのも楽しそうですよ!

<お店情報>

【2軒目】脳がとろけるウマさ!北海の海の幸を堪能できる「小西鮨」

続いて紹介するのはみんな大好きSUSHI

飲み屋街の一角にある「小西鮨」です。お客さんの9割は地元の方というのが頼もしいですね。

新鮮な魚が目の前に並ぶ特等席、カウンターでいただきます。地元の料理屋さんで腕を磨き、跡を継いだ若き二代目・小西さんがあたたかな笑顔で迎えてくれました。

ぴっかぴかの魚!

上がりまくったテンションを、まずは小ジョッキ(400円)でクールダウン。いろんな魚があって選びきれないので、小西さんにおすすめで握っていただきます。

まずはお造り盛り合わせ(2,500円)を! 小樽産のシャコ、釧路産のサバとホタテ貝、網走産のキンキ、苫小牧産のホッキ貝、函館産のマグロに真イカ。

これぞ北海の幸サミット〜〜!! 京都から来た私のために、わざわざ道産の魚で固めてくれました。お造り盛り合わせは、要望に応じて1,800円からその日のおすすめをチョイスしてくれます。

口に入れた瞬間、怒濤のように押し寄せるうま味! 脂! 甘味! これは魚介類の形をしたアミノ酸の暴力!

こんなに新鮮でおいしい魚を食べるなんて、人生であと何回ある……!?

白子ポン酢(900円)もヤバかった。プリプリの膜は歯を入れた瞬間ふわ〜っと溶けて、特濃のなまめかしいクリームが広がります。余韻を残して消えていくので、これは白子の形した幻かな? と思いました。

「普段、食べてる白子って、もっと弾力がある食感なんですよね……」って話をしたら「あ〜、それは冷凍の白子ですね!」と一刀両断。

いただいたお酒は、男山の「笹おり(700円)」。火入れしていないフレッシュな味わいが魚に合う!

ちなみに帽子はあまりのうまさに仰け反ったら飛んでいきました。まさに脱帽。

満を持して握りです。左からホタテ貝(300円)、真イカ(200円)、真ツブ貝(350円)。

魚と比べると淡白な味わいにもかかわらず、うま味の主張が激しい! ムッチリした食感や歯切れの良さも相まって「素材本来のおいしさ」ってこういうことなのね……と思い知らされます。

ボタン海老(時価!)は、身を握りに、頭のミソと卵は軍艦巻きにという丁寧ぶり。

うますぎて爆笑する!

必死に味のメモを取った内容を書き起こしていますが、現地では「はわわ〜!」とか「ふおお〜!」とか、知能指数が3くらいしかない感嘆詞しか出てきませんでした。きっとみんなこのお寿司を食べたら脳みそがゆるふわになって世界中の争いがなくなる。

すじこ(400円)。だってこんなキラキラのすじこ見たことあります? でっかいルビーが房になっているのかと思いましたわ……。

さらに北海道といえば、ウニ(700円)! とにもかくにも色が濃い〜。しっかり形の残ったウニは口内でペースト状に変身します。まったりもったりと甘く、なのに全くしつこくない……! この世が滅亡する前日にこれを長靴いっぱい食べたいよ!

あああ〜〜〜うますぎるうますぎる、こんな最高においしいものを食べさせていただいてホントすみません! これからも頑張って生きますのでどうか許してください!!

どんどん頭がパーになっていく様子に小西さん、苦笑。

醜態の弁解になるんですが、流通網の発達で都会なんかは全国の食べ物が容易に手に入るじゃないですか。それを食べて「やっぱり道産の魚はいいなー」とか「沖縄の海ぶどう好きー」とか思うわけですが。ただ、ホントに地元のおいしいものは地元に行かないと食べられないんだってことを実感しました。日本は狭いようでめちゃくちゃ広いし、地元でしか手に入らないものがいっぱいある。

お金出したらそりゃどこででも食べられるのかもしれませんし、この金額も別に「全国全てのメニュー」の中で見れば安いわけじゃありません。でもね! この金額は正直安い! あんな新鮮の権化みたいなネタ、京都なら倍くらいはするはず。

この金額でこれだけ新鮮なお寿司がいただけるのは、やっぱり海産物に恵まれた北海道だからであって、実際に足を運んだ人限定の幸せタイム。旭川に来て本当によかった……。

と、「道内で食う道産の魚ヤバイ」話の反対にはなりますが、じつは小西鮨さんは北海道以外の魚も多数そろえられていました。北海道だけで十分おいしい魚が手に入るのに?

「昔は地元の海産物を中心に扱っていましたが、僕が跡を継いでからは、あえて積極的に北海道以外の魚も仕入れるようになったんです。うちは地元の人たちが中心のお店なので、例えば九州の魚だとか、いままで旭川の人が食べたことのない魚もここで体験してほしいなって」と小西さん。

単純に地元のおいしいものだけで完結させず、お客さんのニーズや動向を捉えて「新発見」を提供する小西さんの姿勢に乾杯。地元のいいものをそろえるもよし、あえて全国のものをそろえるもまたよし。

おいしい食べ物に対してまっすぐな職人の心意気をヒシヒシ感じられました!

<お店情報>

【3軒目】地産地消の料理にセルフサーバーが楽しい「のらくら」

絶品寿司でお腹を満たしましたが、酒欲はまだまだ満たされません!

というわけでお次は「のらくら3条店」です。「L字カウンターでみんなでワイワイ飲めるから、ひとり飲みでも寂しくない!」という事前情報ですが果たして!

酒場の門をくぐるたび「とりあえずビール」のカードがリセット。生ビール(350円)でひとり乾杯です。

地産地消に力を入れているのらくらさん。メニューの緑マークが北海道産、青いマークが国産、オレンジのマークが旭川近郊の食品店で買いつけた食材を使用しています。「せっかくなら現地のいろいろを食べたい」と思うのが旅人の性。この表示はうれしいですね〜!

肉&魚と続いたので野菜を摂取! ごぼう棒(220円)。ごぼうの土臭さに甘辛い下味がマッチ。

アッツアツのごぼう棒をほおばって「アファファ!」ってなった瞬間にキンキンのビールをゴバーッ!!

THE・最高〜〜〜〜!!!

さらに最高なのが、1杯300円の「セルフコーナー」の存在!

ジョッキないしは日本酒のグラスをもらって、壁に設置されたドリンクサーバーから自分でお酒を注げるんです! もちろんセルフなので、薄い水割りをつくろうがロックをなみなみにしようが値段は一律。しかも米、麦、芋、泡盛に日本酒までそろっている大盤振る舞い。

日本全土でこのシステムを法律として導入してくれないかな。

地元の人と出張に来ていたお客さんたちと乾杯! 乾杯をするとお客さん同士の間にあった壁が一気になくなる。酒の力って偉大だなあ。

地元のものが食べられることとリーズナブルさ、お客さんたちで盛り上がれるので、地元の人だけではなく出張や旅行の人も多いんですって。

お客さんのひとりが「『一人飲み』で検索して一番にここに来ました」とニッコリ。

逆隣のお客さんは、何と旭川市役所の職員さん。「旭川へようこそ!」と市のマスコットキャラクター「あさっぴー」のぬいぐるみをプレゼントしてくれた!

腕から伸びる黄色いヒラヒラは「ジュディ・オングですか?」と尋ねたところ「ラーメンです」とのこと。アザラシにクマ、旭川の風景を取り込んで錬成された愛らしい合成獣、それがあさっぴー……。

焼酎に合わせたいのは羊! ということで「しのはらさんのジンギスカン(330円)」。

羊独特のクセ(このクセがうまいんだ)が濃いめの焼酎をどんどん進ませます。

セルフコーナーにあった地酒「大雪乃蔵」はスッキリとした口当たりの中にふわっと米の甘味が余韻として残るオールマイティーな味わい。

日本酒と相性抜群なのが「クリームチーズ山わさび(330円)」。醤油をたらしていただきます。

山わさびはいわゆる西洋わさび(ホースラディッシュ)のことで、北海道では野生化して「エゾワサビ」とも呼ばれているようです。ツンとくる辛さは本わさびに比べていくぶんマイルド。この絶妙な辛みが、チーズ×醤油×日本酒の発酵トリオの芳醇さをキリッと引き締めてくれる〜!

山わさびは初めて出会う食材だったので、滞在中にスーパーを見に行ったんですが、茶色くないごぼうのような見た目でした。本わさびとは完全に別種みたいですね。

食べたことないのどんどん頼むぞ! ということでカスベの一夜干し(330円)。

カスベとはエイのこと。かといってエイヒレのように薄くてカチカチの食感じゃなくて、肉厚で水分の残るムチッとした歯触り。これまた日本酒泥棒です。

セルフコーナーから旭川・高砂酒造の「風のささやき」を。淡麗な辛口酒です。北海道の地酒は比較的あっさり淡麗な味わいのものが多い気がしますね。それにしても旭川は地酒が豊富ですなぁ。

この辺りからけっこう本格的に酒が回ってきた。

「これも食べなきゃ!」とすすめられたのが「北あかりのじゃがバター塩辛添え」(330円)。じゃがバターに乗っているのはイカの塩辛じゃなくてなんとホヤ!

イカの塩辛に比べてホヤの塩辛の方がすっきりした塩味。甘味の強い北あかりとホヤの塩分をバターが絶妙に取り持ってくれる〜。発酵食品と乳製品はホントにどれを組み合わせてもおいしいですね……!

「大人のねこまんま」(330円)はシメに! 細いかつお節に半熟目玉焼きがオン。醤油をたらしてここはお行儀を気にせずワイルドにかき混ぜていただきましょう!

気取った丼ももちろんおいしいですが、こういう何気ないゴハンものって歳を追うごとにおいしく感じます。お酒をたくさん飲んだ後は特に……。

「よかったらこれつまんでください」「これおいしいですよ〜」なんて言ってる間に店内の空気もホッカホカ。

それにしてもメニューがどれもお安い! サク飲みなら1,000円あれば十分楽しめる価格帯です。

「北海道は食材に恵まれた土地なのが大前提ですけど、安さは企業努力! せっかくなら地元のものをいろいろ味わってほしいですから」と店長の木原さん。

野菜は近郊の農家さんを回って仕入れ、旭川以外でもなるべく道産にこだわっているそう。旭川および北海道の食材を幅広く食べたいときにマストのお店です!

<お店情報>

  • のらくら
  • 住所:北海道旭川市3条通6丁目 3条本通
  • 電話:0166-25-3622
  • 営業時間:17時〜翌1時(LO 0時30分)
  • 定休日:日曜・祝日
  • URL:のらくら | もめんどき

【4軒目】お通しってレベルじゃねーぞ! アットホーム酒場「おばんざいや ゆるり」

4軒目はこちら! 「おばんざいや ゆるり」です。

何の違和感もなくお店を認識していましたが「おばんざい」ってお総菜を意味する京都の方言なんですよね。旭川なのに京都方言?

母親然としたアットホームな笑顔がステキなえいこママ。手書きの紙を切ったり貼ったりしてつくられたメニューが家感をさらに底上げしております。

ゆるりさんの最大の特徴はこのお通し!!

席料500円で日替わり&手づくりのおばんざいが5種類もつくんです。ってかお通しだけで十分じゃない……これ……? おばんざいの要不要にかかわらず席料はつくので、これは食べた方がぜったいにオトク!!

度々巻き起こる「お通しいらないんで席料取らないで論争」。これってチェーン店の業務用パックで売られてるイカニモな工場製品だったり、皿に入れただけの乾きものだったり、お店の“温度”が感じられないイヤ〜な経験が植えつけられてしまって勃発するんじゃないかと思うんですよね。

お店のキャラクターが皿からじんわりにじみ出てくるようなぬくもりあるお通しは「むしろそんな席料でこんなにありがとうございます……!」って気持ちになりませんか?

「ものすごいボリュームですね!」と驚きを隠せないでいると「でしょ〜」と応えてくれたのは娘のえりさん。

母娘で始めたのかと思いきや、実は三代目。なんでも10数年前にもともとランチのお店として誕生し、その後えいこママのご友人が店に立つようになり、夜の営業もスタート。さらにご友人に代わってえいこママが女将さんとしてお店を切り盛りするようになったんだとか。

お店の経営が初めてだったえいこママ。お客さんの要望に応えるうちに、1,000円の晩酌セットが「500円で5品」という破格のメニューになったのです。

えりさんいわく「私はもともと他のお店で働いていたので、母の店を手伝うようになった時『よくこの金額でやってこれたな』と驚愕しました」。

娘や息子の「もっと食べたい」に応えまくる献身的な母の愛よ……。

「おばんざい」はお店の誕生当初から冠しているものの、やっぱり意味を知らない人も多くて「おばんざいって何?」とよく聞かれるみたいです。結局最初に思った「旭川なのにおばんざい?」というギモンは解決しないままですが、いい酒場なんだから未解決でもいいじゃない!

いただいたお酒は「ZOOっと旭山」(500円)。旭川の酒造・高砂酒造と旭山動物園がコラボしたカップ酒で、園内の「海・山・森」にちなんだ動物たちが描かれています。

キュートなイラストがめちゃくちゃかわいい! しかも飲んだ後は持って帰れます。丁寧に緩衝材で包んでくれました。

もちろん味も申し分なし、というかイラスト重視のカップ酒と侮ってたらそのおいしさにビックリするはず! 甘味と酸味がおだやかな純米酒で、優しい飲み口がデザインとピッタリ合っています。

発酵食品と乳製品は鉄板! の法則に基づき「クリームチーズと三升漬」(300円)も注文。

三升漬は北海道や東北地方の郷土料理で、青とうがらし、麹、醤油を同量の割合で漬けた保存食。麹のおかげで塩気のカドがとれた醤油に、青とうがらしのピリリとした辛さがヤミつきになる味! おにぎりにしてもぜったいおいしいだろうな。

ま〜〜たこれが日本酒に合うんだー!! チーズ単体よりも醤油とか味噌とか麹とか、日本の発酵食品をプラスすることで一気にワインから日本酒のお供になる!

小上がりの壁に描かれた黒板がめちゃくちゃ心をゆるませてくる。いえいえこちらこそステキなお店に来させていただいて……。

ハムカツや磯辺揚げといった酒のアテから、おにぎりや味噌汁のようなゴハン系メニューまでそろうので、お酒なしの定食屋使いとしても人気。

「もりもり食べなさい」と微笑むえいこママは旭川みんなのおかあさんやー。単身赴任の人なんかはこの心地よさに惚れて通っちゃうだろうな〜。

ナポリンサワー(400円)をデザートに。いやデザートて。ナポリン、正しくは「リボンナポリン」は北海道限定の清涼飲料水。すすきのでも飲みましたが、この小児科でもらったシロップのような、なんともノスタルジックな味がおいしい。

京都でも通販で買えるんだろうけど、これは北海道で飲むから意味があるんだろうなぁ。

面白いなと思うのが、あくまでメニューは家庭的なのに、お酒のラインアップにかなりこだわりが見られるところ。この掛け合わせの妙は「安くておいしいけれど、食べたことがないもの、自分が納得しないものはお店に出さない」というアットホームさの裏にフツフツと燃える母娘のこだわりがゆえ。

たまに「よくこんなレア酒仕入れたな!」という驚きも交えながら、本当の家のようにくつろげる空間、「ただいま!」と言って戻ってきたくなる酒場でした。

<お店情報>

  • おばんざい ゆるり
  • 住所:3条6丁目-2・3条仲通 すずらんビル1F
  • 電話:0166-24-2158
  • 営業時間:17時〜23時
  • 定休日:日曜・ほか不定休

【5軒目】1日の終わりにじっくりお酒と向き合いたい夜に!「cocktail bar spoon」

最後に紹介するのは、木製のドアが隠れ家感バツグンな「cocktail bar spoon」!

にぎやかな酒場で現地の人とワイワイするのは最高に楽しいですが、時にはひとり静かに飲みたい夜もありますよね。ここはじっくりお酒を飲みながら自分と向き合いたい時に訪れたいオーセンティックバー。

赤みを帯びた照明のおかげでやたらフォトジェニックな感じになった! お酒をつくるのは女性バーテンダーの種村さん。アジア・パシフィック・カクテル・コンペティションという大会で、2006年にチャンピオンに輝いた経歴をお持ちです。

ベーシックなリキュールから、年代物のウイスキーまで幅広くそろえていますが、人気は季節のフルーツを使ったオリジナルカクテル。ちょうど取材時には「国産キウイのフローズン」や「いちぢくラムトニック」といったメニューがありました。

最初にいただいたのは「大雪モヒート」というオリジナルカクテル(1,300円)。旭岳という大雪山で一番高い山に降り落ちた雪が、クラッシュアイスとミントに積もる粉糖で表現されています。

ラムベースにミントなのでモヒートと同じような感じかと思いましたが、やっぱりそこはバーのカクテル。繊細さが違います! 雪解け水のようなまろやかな味わいが、アルコール感をやさしく包み込んでいるような。

次にいただいたのは、「シャルマン・フィーユ」(1,300円)。フランス語で「ステキな女の子」という意味だそう。

フランスのリキュールメーカー「マリー・ブリザール」の全国大会で優勝を獲ったカクテルで、アニゼットという薬用酒が使われています。

デザインが変わる前の旧ボトルを見せてくれました。

アニスやコリアンダーなどの薬用酒らしい風味に、パインのフルーティーさが加わって、本当にちょっと毒っけのある小悪魔的な女の子がありありとイメージできる味わい!

「変化球でトガった味をつくるのは私はしないんです」と種村さん。アルコールを感じながらも、いただいたお酒は女性らしい穏やかな飲み口でした。

ひとりでお酒と対話するような時間を過ごすお客さんが多いというだけあって、まさにそんな夜にそっと寄り添う柔らかな存在感のお酒。

せっかく旭川に来たんだから、じっくりカクテルでも飲んでひとり贅沢に時間を使いたい……そんな夜こそ、こんな隠れ家感のあるバーをひとつ知っていれば、心の隙間をピッタリ埋めてくれるんじゃないでしょうか。

<お店情報>

地元愛がかなり強い、旭川の酒場人たち

さて今回の旅の発見は、伺ったお店の人たちがみんな旭川育ちということ。一度は進学や修行などで旭川を離れても、みんな故郷に戻ってお店を切り盛りしていたんです。自分たちの町が、酒場が好きなんだという気持ちがお酒を通して伝わってくるお店ばかり。

「旭川の人はシャイだから、アピールが下手なんだよ。でも排他的だとかそういうことは一切ないから、どんどん遊びに来てほしいな」とのらくらの木原さんが笑っていたのが実に印象的です。

ローカル色が濃厚な旭川で出会ったのは、旭川を愛する人たちとの出会いでした。皆さんも旭川に来た際は、地元を愛し、地元から愛される酒場で味わい深い時間を過ごしてくださいね〜!

撮影:牛久保賢二

※記事で紹介したメニューはすべて税込み価格です。

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今回訪れたお店を地図でチェック!


札幌・すすきの編はこちら!

yorimichi.airdo.jp



書いた人:平山(通称:おかん)

合同会社バンクトゥの編集/ライター。京都市在住。大学のあだ名「おかん」がそのまま通称に。酒場と旅とウマイもんを愛する。将来の夢はスナックのママ。

Twitter:@hirayama_okan
合同会社バンクトゥ:Facebookページ

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編集:はてな編集部