皆様、まいどでございます!
温泉ソムリエぐっちです。
今回は、北海道の河東郡(かとうぐん)上士幌町(かみしほろちょう)市街地から北に約23kmの山の中にある温泉街ぬかびら源泉郷へ行ってきました。
もちろん今回も「源泉かけ流し」さらに「消毒していない温泉」に拘って紹介します。
しかし、北海道の冬はほんまに寒いっすねぇ。
ぬかびら源泉郷は2007年6月に源泉かけ流し宣言をされた温泉地です。
ということは、どこの温泉に入っても源泉かけ流しの温泉ってことになります。
素晴らしい!!!
ということは、ぐっち的にハズレなしの温泉地になります。
そんなぬかびら源泉郷でぐっちが選んだ3ヶ所の温泉をご紹介させて頂きます。
ぬかびら源泉郷に宿泊すると6軒のお風呂を無料で利用できる?!
まずは、上士幌町観光協会の中田さんにお話をお伺いしました。
中田さん:ようこそぬかびら源泉郷へ!
ぐっち:今日はよろしくお願いします。ぬかびら源泉郷についてお伺いしたいのですが、2007年に源泉かけ流し宣言をされてますよね。
中田さん:そうなんです。我々にとっては当たり前の源泉かけ流しの温泉だったのですが、全国的には珍しいようでしたので高らかに宣言をしてしまおうと。近年は自然を感じられる閑静な温泉地にしようと、山もみじを植樹したりしています。特に紅葉の時期は大変多くのお客さんにお越し頂くようになってきました。
ぐっち:素晴らしい取り組みをされていますね。ぬかびら源泉郷のお湯はどのような特徴がありますか?
中田さん:ぬかびら源泉郷では泉源が30箇所以上あり、そのほとんどが自噴している温泉です。泉質はほぼいずれも「ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉」となります。
※泉源とは温泉が湧き出している場所のこと。
ぐっち:そうなんですか!全国的に自噴している温泉は少なくなっていると聞きますが、30箇所以上とは凄いですね!
※全国的に現在の温泉の多くは自然に湧き出さず、動力揚湯(どうりょくようとう)と言われる地中からポンプで汲み上げているようです。
中田さん:ありがとうございます。ぬかびら源泉郷では、日帰り湯めぐり手形を販売しており、1,200円で3軒のお風呂に入れます。そして、宿泊者は6軒のお風呂を無料で何度でもご利用可能です。
ぐっち:えっ!宿泊すると、他のお宿に無料で入れるんですか!超お得ですねっ!
中田さん:ぜひ、ぬかびらで色々な温泉に浸かって下さいませ。
ぐっち:頑張ります!
温泉通がこっそり通う秘湯 幌加温泉「湯元 鹿の谷」
さらに北の雪深いところへ、ぬかびら源泉郷から車で走ること約15分。
幌加(ほろか)温泉「湯元 鹿の谷(かのや)」へ到着。
ここ幌加温泉の「湯元 鹿の谷」はぐっちが長年ず~っと行ってみたかった温泉です。雪が積もるこの時期に来られたのは感無量。
建物はとっても年季が入っておりますが、この雰囲気は大当たりの匂いをプンプン感じます。
廊下を進んだ先に浴場があります。
こちらの温泉は混浴のみ!
なので、女性の方にはかなりハードルが高いかと。
まずは内湯から。
浴室への扉を開けると温泉の独特な柔らかな香りが漂っています。
内湯はコンクリート製の浴槽が3つ並んでいます。
それも、それぞれの浴槽が別源泉!
そうです、浴槽毎に温泉が異なるんです!
手前から「ナトリューム泉」「鉄泉」「カルシューム泉」と壁面には記載されていますが、温泉分析書が掲示されていなかったため、お湯の詳しいことは残念ながらわからないのですが、3つともそれぞれ微妙に浴感や香りが異なります。
また、湯船の縁はごらんのように温泉成分が析出しています。
特に私が気に入ったのが一番手前の「ナトリューム泉」で、ここはほんのりと硫黄の香りが漂う熱めの湯でした。
たまたまいらっしゃったお客さんと一緒に記念撮影。
では、意を決して極寒の露天風呂へ。
露天風呂までちょっと遠い・・・。
ぎゃぁ~~~!
裸でスケートリンクの上を歩くかのようで・・・足がほんまに凍りそう・・・。
ざぶんっ!
ほぉ~~~、こりゃ最高や!
雪見露天風呂は、やっぱ最高っすね!
ちょっと我慢して湯船まで行けば、そこはまさに極楽。
冬の北海道の温泉、大満喫!
ただ、外はほんまに寒くて、露天風呂に居た15分ぐらいの間に撮影用のカメラ、凍ってました。
幌加温泉「湯元 鹿の谷」は温泉と大自然以外何もありません。ただ私にとって、その2つがあれば十分!
温泉本来の醍醐味をダイレクトに味わえる素晴らしい温泉でした。
また、いつか必ず来るな、ここは。
なお、「湯元 鹿の谷」は、お問い合わせ先などはありません。
詳しくは上士幌町観光協会へお問い合わせ下さいませ。
スペシャルな混浴露天風呂がある ぬかびら源泉郷「糠平舘観光ホテル」
ぬかびら源泉郷の温泉街の西側に位置する「糠平(ぬかびら)舘観光ホテル」は、ぬかびら源泉郷で一番大きなお宿です。
館内に入ると温泉宿というよりはスイスの山小屋のような雰囲気です。
ロビーで使われている木は大雪山国立公園内で伐採されたカラマツの原木を利用されております。
まずは宿泊担当マネージャーの川島さんに話をお伺いしました。
川島さん:寒い中、ようこそ糠平舘観光ホテルへいらっしゃいました
ぐっち:どうぞよろしくお願いします。外観と内部の違いに驚きました。温泉宿という雰囲気が内装からはあまり感じられませんね。
川島さん:そうなんですよ。こちらは温泉宿でもありますが、弊社は「ぬかびら源泉郷スキー場」も経営しており、スキーでお泊まりになられる方も多いのです。
ぐっち:なるほど。そういえばスキーで泊まる宿の雰囲気がしますね。
川島さん:毎年12月に国際スキー連盟の公認レースがこちらで開催され、それが日本のオープニングレースとも言われております。
ぐっち:とても由緒あるところなんですね。スキーをして、源泉かけ流しの温泉に入れるってとっても贅沢ですね。
川島さん:ありがとうございます。また、当ホテルでの温泉の湯量は大変多く、冬場は加水もせず、完全なかけ流しで提供させて頂いております。ゆっくりと当ホテルのお湯をお楽しみ下さいませ。
ぐっち:ありがとうございます。
では、まずは大浴場の「岩の湯」から。内湯と露天風呂があります。
内湯への扉を開けるとご覧のように岩で囲まれた浴槽があります。岩が大きいため浴槽の湯が見えないほど。
泉質は「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉」。とても柔らかなお湯です。
浴槽からは糠平の大自然が見渡せます。ホテルの規模からすると少し小振りな浴槽ですが、湯が新鮮なので嬉しいですね。
※湯量が同じ場合、浴槽が大きいより小さいほうが、湯の入れ替わる時間が短いため、新鮮な温泉に浸かることが出来ます。
続いて「岩の湯」の露天風呂へ。
自然を十分に感じられる造りになっています。
「岩の湯」から出ると、川島さんにこちらへと。
扉から出るとご覧のように階段が下へ伸びています。
その先に小さな建物が。これが、糠平舘観光ホテル名物「仙郷(せんきょう)の湯」です。
なんと、こちらは混浴露天風呂!
では、階段を下って行きます。冬場は凍っている場合がありますので、注意しましょう。
「仙郷の湯」は脱衣所と露天風呂に屋根だけのシンプルな建物です。そして、ホテルの建物からかなり離れているため、大自然のど真ん中って感じです。
シーンと静まり返った中、湯が流れる音と近くの川のせせらぎが聞こえます。
服を脱いだり着たりする際は結構寒いですが、少し勇気を持って頑張りましょう。
いやぁ~、こりゃ最高です!絶景です!大自然満喫です!
大型ホテルでこれだけ自然を感じられる温泉はとても希少だと思います。
しばし自然と湯を存分に堪能させて頂きました。
こちらは混浴で、水着着用可とのことですが、是非裸で入ってほしいですね。水着を付けて温泉に浸かるとどうしてもお風呂に入っているというよりは、暖かいプールに入っているように感じてしまうので、ちょっともったいないような気がします。
と言いつつも、特に女性の方々にとって混浴は、とってもハードルが高いと思います。そんな女性のために女性専用タイムが19時から22時までございますので、女性の方はこの時間にどうぞ。
大きなホテルでぐっち的に当たりの温泉は非常に少ないのですが、「糠平舘観光ホテル」はほんとオススメです。
さらに最近めっきり内湯派の私ですが、ここの混浴露天風呂「仙郷の湯」は気持ち良すぎました。
随所に小粋なおもてなしを散りばめた 糠平温泉「中村屋」
最後にご紹介するのは「中村屋」。今回はこちらでお泊りさせて頂きます。
フロント:いらっしゃいませだワンっ!
ぐっち:わぉっ!
フロント:社長を呼んで来るだワンっ!
ぐっち:よろしくお願いしますっ?!
社長の中村さん登場。
中村さん:お待ちしておりました!
ぐっち:お世話になります!
中村さん:では、温かいお茶をご用意しますので、ちょっと待って下さいね。
おもむろに何やらごそごそと・・・。
特殊な道具で手際良く火を起こしてお茶の出来上がり。
中村さん:お待たせしました。そば茶になります。どうぞ~。
ぐっち:あったまりますねぇ~。しかし、このお宿はなんていうのでしょうか、おもちゃ箱をひっくりかえしたようなと言いますか、雑貨屋さんのようでもありますし・・・。
中村さん:ありがとうございます。建物は古いのですが、お客様に喜んで頂けるようにとアイデアを出しては、少しずつ手入れをしながら、現在に至っています。
ロビーはこんな感じだったり、
黒板にはオプションの色々なメニューが記載されていたり、
使用されている食材の公開をされていたり、
自家製の食前酒を選べたり、
便利グッズがズラリと用意されたお部屋があったり・・・。
紹介しきれないほど、随所に嬉しくなるサプライズがあります。
ぐっち:色々な仕掛けが沢山あり、「中村屋」はまさにオンリーワンですね!
中村さん:ありがとうございます。次回来られたら、どこかは変化していると思いますよ。
ぐっち:それは楽しみです!さて、こちらの温泉についてお聞きしたいのですが、源泉は自家源泉ですか?
中村さん:はい。我が宿は自家源泉が3つありまして、全て自噴しております。それらを浴槽のサイズにあわせて適温になるように混ぜて利用しております。また、気温が高い時には自作の熱交換器を用いて温泉を空気に触れさせずに適温にしております。
※一般的に高温の温泉の場合、水を加えて温度を下げているが、水を加えると温泉が薄まってしまいます。熱交換器は温泉を薄めず、空気に触れさすことなく温度を変える装置ですが、高額なため導入されている施設はまだまだ少ないそうです。
ぐっち:凄いですね!ほんと温泉に拘っていらっしゃいますね!
中村さん:そう言って頂けると私も作った甲斐があると言いますか、嬉しいです。今回は、我々でリフォームしたお部屋をご用意しておりますので、ゆっくりおくつろぎ下さいませ。
ぐっち:え?部屋のリフォームまで自らされているんですか!
中村さん:(笑)
では、早速お部屋へ。
今回のお部屋は107号室。
期待が高まります。
おっ!
素敵っ!
めっちゃ素敵っ!
部屋にはマッサージチェアに、様々なタイプの枕が(写真左の棚)!
好みの枕を選べるおもてなしは嬉しいですね。
男の私でもテンションあがりますので、女性ならさらに喜ばれることかと思います。
お部屋でゆっくりと快適に過ごしました・・・と言いたいところですが、ここでゆっくりしている場合ではないっ!
そうです、私の目的は温泉です!
ということで、直ちに「中村屋」の湯めぐりへ。
まずは名物と言われている混浴露天風呂へ。
このアプローチ、これまた期待が高まります。
脱衣所もめっちゃええ感じです。
では、寒いですが気合で露天風呂へ。
先客無しの貸切状態!
いいっすねぇ~!大自然に雪は、やっぱたまらんっす!
いやぁ~、にやけてしまいますね。
湯は適温。
ほぼ無臭の無色透明な湯は柔らかです。
湯船に浸かりながらの眺めはこのような感じ。
頭は凍りそうなぐらい寒いですが、体はぬっくぬく。
雪を眺めながらの温泉はやっぱ最高ですねぇ。
夜の露天風呂はお泊りならではの楽しみ。
この日は晴れ渡っていて月明かりを浴びての湯浴みを楽しませて頂きました。
嬉しい仕掛けとして、露天風呂の横のボタンを押すと照明が消えます。すると、真っ暗になり、空を見上げればお月様&満点の星空!
これには大感動でした。
では、引き続き内湯へ。
まるでお星さま?ヒトデ?のような形の浴槽!
露天風呂ではほぼ無臭に感じたお湯の香りが、内湯では柔らかなお湯の香りがしっかりと感じられます。
この内湯、ピカイチです!
優しいですねぇ~。
私の60兆個の細胞がとっても喜んでいました。
そして、もうひとつの内湯へ。
こちらは木の浴槽です。
なかなか味があります。
優しい香りの温泉の場合、浴槽が木だと木の香りも混ざり、さらに優しい自然な香りが漂います。
木の浴槽は、実に落ち着きますね。
「中村屋」の温泉の泉質名は「単純温泉」と「ナトリウムー塩化物・炭酸水素塩泉」になりますが、成分的にはほぼ同じ泉質と言えます。
では、ディナーへ。
まずは、北海道限定のサッポロクラシックでひとりで乾杯っ!
雪国で暖炉の火を眺めてのディナーはやはり嬉しいですね。
料理はコース仕立てで一品ずつ。
地のものをアレンジしている料理は、女性の方はきっと大喜びされるようなものばかり。
温泉宿の食事というよりはオーベルジュに近いような感じでした。
朝食は窓から雪景色を眺めつつ。
驚くべきは朝からフリードリンクコーナーにビールにワイン?!
ほんまかいな!ほんまでした。
チェックアウトの際に中村さんとフロントでご一緒に。
「中村屋」はとても評判の良いお宿と聞いておりましたが、期待を超える素晴らしいお宿でした!
日本でお宿をされている方は一度こちらのお宿に泊まられては如何でしょうか。アイデア満載で、お客様に沢山の幸せを与えるしかけを常に考え続けているんでしょうね。
ここで滞在させて頂くと、沢山のハッピーやサプライズを頂き、身も心も大満足!本当に癒されました。
こりゃ、流行るな、この宿は。
ぐっち厳選のぬかびら源泉郷の3ヶ所の温泉、如何でしたでしょうか。
どこも本当に素晴らしく、とても気に入りました。
自然豊かなぬかびら源泉郷で大自然を感じながらのほんまもんの温泉、是非味わって頂ければと思います。
次回は暖かい季節に行こかな。
書いた人:ぐっち
1971年生まれ大阪人の温泉ソムリエ。ある時温泉に目覚め、その後生きている温泉に拘り、書いたり、しゃべったりして活動中。 生まれたまんまのお湯に入ってみ。きっとわかるから。
ウエブサイト「源泉かけ流しどっとねっと」